2009 Fiscal Year Annual Research Report
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21590506
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
星野 忠次 Chiba University, 大学院・薬学研究院, 准教授 (90257220)
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Keywords | 変異体ウイルス / 薬剤耐性 / シミュレーション / 分子動力学計算 / プロテアーゼ阻害剤 / 有機合成 / 薬物設計 / 合成経路 |
Research Abstract |
本研究では、野生株のHIVではなく、薬剤耐性を持つ変異ウィルスに最大の薬効を持つ薬物を創出する。薬剤耐性を生じるアミノ酸変異は、一種類ではなく、D30N,L90M,G48Vなど幾つかの深刻な変異が知られている。将来的には、それぞれの変異ウィルスに薬効を持つ複数の薬剤群を揃えて、患者のウィルス型に合わせて、最適な薬剤を選択できるようにすることが目標である。このように薬剤のレパートリーを揃えることにより、HIVをコントロールし、HIV患者が生涯に亘り、エイズ発症を抑制できる。本研究では、I84VならびにV82A変異体に対し強い薬効を示すプロテアーゼ阻害剤を創出することを目的とする。具体的には、(A)阻害剤を計算機で設計し、(B)設計薬剤を合成し、(C)in vitroで薬効を評価確認する。研究期間内では、設計、合成、評価を繰り返し、変異体ウィルスを標的とした薬剤創出を達成することを目指す。 平成21年度は、I84VならびにV82A変異体に対し、計算機を使用して有効な化合物構造を見出すことができた。合成実験ならびに生化学実験の結果を受けて、化合物の候補構造に関して必要に応じて、さらに改良を加える予定である。阻害剤候補薬物の一つについては合成が完了した。化合物合成では、主骨格ならびに側鎖領域を、部分ごとに別々に合成準備した上で、側鎖領域の主骨格への結合を行う。これには選択的な結合位置の制御が必須となるが、平成21年度には、有効な反応経路を確定することができた。複数の阻害剤候補薬物を合成した上で、活性の強さを測ることで、より良い阻害剤候補薬物が得られるので、今後、計算機解析で有望と判断された複数の薬物について、合成を進める。同時に、合成化合物の活性評価を実施する。
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