2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21590509
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
安居 輝人 大阪大学, 微生物病研究所, 准教授 (60283074)
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Keywords | Epstein-Barrウイルス / B細胞 / Latent membrane protein / 潜伏感染 / 自己免疫疾患 / 細胞形質転換 / リンパ腫 / モノクローナル抗体 |
Research Abstract |
EBウイルスによるB細胞形質転換機構とそれに関与する宿主因子の生理的意義を明らかにする目的で、網羅的にEBウイルス潜伏感染遺伝子産物、特にLatent membrane protein (LMP)1と2aに会合する分子について、その同定と生理的役割について検討した。第二にこれらEBウイルスの病態発現の場であるリンパ器官内の胚中心において、LMP1、LMP2aをそれぞれ発現するマウスの免疫学的解析を行った。今年度は分子会合を可視化できるEnhanced Retrovirus mutagenesis/Bimolecular fluorescence complementation assay (ERM/BiFC)を用いて、LMP1,LMP2aに会合する宿主分子の同定を試みた。その中で細胞膜上あるいはER内で会合するATPaseがLMP1と会合する活性を有することが明らかとなり、B細胞形質転換にATPaseが関与していることが示唆された。一方、胚中心特異的LMP1あるいはLMP2a発現マウスの樹立に初めて成功した。これらのマウスにおける免疫細胞分化異常が認められ、免疫監視撹乱によるEBウイルス感染成立に、潜伏感染遺伝子産物が関与していることが示唆された。さらに、LMP1についてリンパ腫様の腫瘍形成及び自己抗体産生が認められた。これはEBウイルス関連リンパ腫であるバーキットリンパ腫やホジキンリンパ腫形成のメカニズムに迫れるマウスモデルとなりうる可能性がある。総じて、今年度の研究結果より、EBウイルスによるB細胞形質転換についてLMP1及びLMP2aのウイルス由来膜タンパクが関与していることが明らかとなった。この結果はこれら膜タンパクがEBウイルス関連疾患特に、リンパ球増殖疾患や自己免疫疾患における治療ターゲットとなりうる可能性を強く示唆している。
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Research Products
(10 results)