2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21590514
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
佐々木 潤 Fujita Health University, 医学部, 講師 (70319268)
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Keywords | ピコルナウイルス / アイチウイルス / ゲノム複製 |
Research Abstract |
アイチウイルスは胃腸炎の原因となることが示唆されているピコルナウイルスである。ピコルナウイルスを含むプラス鎖RNAウイルスのゲノム複製は、細胞オルガネラ膜上に形成される複製複合体でおこり、複製複合体中では、ウイルスRNA、ウイルスタンパク質および宿主タンパク質が、お互いに複雑に相互作用していると考えられている。本研究では、アイチウイルス感染細胞における複製複合体形成に伴う細胞オルガネラの構造変化の観察、および複製複合体形成やゲノム複製に関わるウイルスタンパク質や宿主タンパク質の同定ならびに機能解明を目的とする。 今年度はまず、感染細胞の細胞オルガネラ膜の構造変化を観察した。アイチウイルス感染細胞のゴルジ体マーカー、小胞体マーカーを免疫蛍光染色した結果、小胞体マーカーは非感染細胞と細胞内局在に変化は観察されなかったが、ゴルジ体マーカーは、感染細胞では細胞質へ拡散していた。この結果から、ウイルス感染がゴルジ体の構造や機能を変化させることが示唆された。今後、細胞内の小胞体-ゴルジ体間の物質輸送への影響について解析する必要がある。 加えて、これまでに我々はウイルス非構造タンパク質同士の相互作用を網羅的に解析し、2Aと3CD(プロテアーゼ活性を有する)が強く結合することを明らかにしている。本年度、ウイルスポリプロテインのプロセシングを解析した結果、全ての切断部位のうち、2AのN末端のみ3Cではなく3CDという形のプロテアーゼが必要であり、その切断には3CDと2A間の相互作用が深く関与している可能性を明らかにした。他のピコルナウイルスで、ポリプロテインの切断にプロテアーゼの強い結合が必要とされるという報告はこれまでに無く、ユニークな知見である。
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