2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21590514
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
佐々木 潤 藤田保健衛生大学, 医学部, 講師 (70319268)
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Keywords | ピコルナウイルス / アイチウイルス / ゲノム複製 |
Research Abstract |
アイチウイルスは胃腸炎の原因となることが示唆されているピコルナウイルスである。ピコルナウイルスを含むプラス鎖RNAウイルスのゲノム複製は、細胞オルガネラ膜上に形成される複製複合体でおこり、複製複合体中では、ウイルスRNA、ウイルスタンパク質および宿主タンパク質が、お互いに複雑に相互作用していると考えられている。本研究では、アイチウイルス感染細胞における複製複合体形成に伴う細胞オルガネラの構造変化の観察、および複製複合体形成やゲノム複製に関わるウイルスタンパク質や宿主タンパク質の同定ならびに機能解明を目的とする。今年度は、ウイルス複製に関与する宿主因子の探索を行った。 HeLa細胞cDNAライブラリーの酵母ツーハイブリッドスクリーニングにより、ウイルスタンパク質3Aと相互作用する宿主タンパク質を同定した。哺乳動物細胞ツーハイブリッド解析および共免疫沈降法による解析を行い、これらの相互作用をさらに確認した。siRNAにより宿主因子発現をノックダウンした細胞に、ルシフェラーゼ遺伝子を組み込んだアイチウイルスレプリコンRNAをトランスフェクトし、ウイルスゲノム複製を調査したところ、この宿主タンパク質ノックダウンによる複製阻害が認められた。以上の結果は、本研究で得られた宿主タンパク質が、3Aと結合し、ウイルスゲノム複製において重要な役割を果たしていることを示唆している。3Aは膜タンパク質であり、他のピコルナウイルスでは、ウイルス複製複合体形成のための膜構造再構成に関与することも知られている。本研究で得られた宿主タンパク質が、ウイルス複製複合体形成過程で重要な働きをしている可能性が考えられ、現在、詳細な解析を行っている。
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