2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21590514
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
佐々木 潤 藤田保健衛生大学, 医学部, 講師 (70319268)
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Keywords | アイチウイルス / ピコルナウイルス / ACBD3 / PI4KB / PI4P |
Research Abstract |
本研究は胃腸炎関連のピコルナウイルスであるアイチウイルス(AiV)について、ウイルスゲノム複製複合体形成に関わるウイルス・宿主タンパク質の同定や機能解明を目的とする。本研究において、ウイルスタンパク質2B、2BC、2C、3A、3ABと相互作用するゴルジタンパク質、ACBD3を同定した。さらに、最近エンテロウイルス(EV)の複製に必要な宿主因子であることが示されたPI4KBと、ACBD3が相互作用することを新たに明らかにした。ウイルスタンパク質とPI4KBとの直接の相互作用は認められなかった。感染細胞の免疫染色により、ウイルスタンパク質、ACBD3、PI4KB、PI4KBにより産生される脂質PI4Pがウイルス複製部位に存在することを示した。ACBD3やPI4KBをノックダウンした場合も、ウイルスRNA複製を阻害した。以上の結果は、AiVゲノム複製部位でウイルスタンパク質/ACBD31/PI4KB複合体が形成され、PI4Pを産生することがウイルスRNA複製に重要であることを示唆する。EVは3A/GBFl/Arf1を介してPI4KBをリクルートすることが報告されていたが、我々の論文発表後にEVの3AがACBD3にも結合することが報告され、ACBD3を介したゲノム複製部位へのPI4KBのリクルート法をEVも利用していることが示唆された。さらに、C型肝炎ウイルス(HCV)では、PI4KBとは別のキナーゼ、PI4KAを利用してPI4Pをウイルス複製部位に蓄積させていることが報告されている。PI4Pは膜輸送に関わるシグナル分子であることから、複製複合体形成に必要な細胞内膜構造変化に関わっている可能性も考えられる。本研究は、EV、HCVと同様AiVでのPI4Pの必要性を示したことに加え、PI4Pを複製部位に蓄積させるための新たな方法を明らかにした点で、ウイルス学的に重要であると考えられる。
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