2010 Fiscal Year Annual Research Report
TaxによるeEF1A2の誘導とそのHTLV-1によるT細胞がん化での役割の解明
Project/Area Number |
21590516
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
稗島 州雄 近畿大学, 医学部, 准教授 (10322570)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
義江 修 近畿大学, 医学部, 教授 (10166910)
重田 暁子 近畿大学, 医学部, 助教 (50420435)
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Keywords | Tax / eEF1A2 / HTLV-1 / T細胞 / がん化 |
Research Abstract |
タンパク翻訳伸長因子eEF1Aには神経と筋肉以外のほぼ全ての組織で発現しているeEF1A1と主に神経と筋肉で発現している亜型のeEF1A2が存在する。このeEF1A2が異所性に発現した場合、卵巣癌、肺癌、乳癌、肝癌など腫瘍性増殖に関わることが既に報告されている。我々はHTLV-1転写制御因子TaxがHTLV-1感染細胞株においてeEFIA2を特異的に発現誘導することを見出した。平成21年度までにeEF1A2の遺伝子導入でHTLV-1非感染T細胞株に有意な細胞増殖促進効果をもたらすこと、逆に、eEF1A2遺伝子のノックダウンにより有意な増殖抑制効果を認めることを報告した。HTLV-1非感染T細胞株にeEF1A2を導入すると各種アポトーシス誘導剤に対して抗アポトーシス活性の増強が観察されたことから、この活性が細胞増殖促進効果の一部を担っている可能性が示唆された。Tax発現HTLV-1感染細胞株を用いてeEF1A2遺伝子ノックダウンで変動する遺伝子群をRNAマイクロアレイ解析したところ、eEF1A2の発現低下に連動して発現低下する腫瘍関連遺伝子あるいは逆に発現上昇する腫瘍抑制遺伝子を同定するには至らなかった。これはeEF1A2が転写因子のように直接遺伝子を活性化するのではなく、シグナル調節因子としてタンパク質レベルでの修飾あるいは調節作用が主な作用であるためでないかと推測された。平成22年度はeEF1A2による増殖シグナル活性化経路の同定を中心に解析を進めたところ、eEF1A2導入HTLV-1非感染T細胞株ではTaxによるAKTのリン酸化やERK1/2のリン酸化が促進しておらず、その他のシグナル分子の関与が考えられた。
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