2011 Fiscal Year Annual Research Report
高病原性ウイルスの粒子形成・出芽解析と新規抗ウイルス戦略への応用
Project/Area Number |
21590518
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
安田 二朗 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (10282518)
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Keywords | Tetherin / 抗ウイルス / インフルエンザウイルス |
Research Abstract |
高病原性ウイルスは、現在、感染症およびバイオテロの両面から人類にとって大きな脅威となっている。そこで、本研究では、これらのウイルスの増殖後期過程(特に粒子形成・出芽過程)で関与する宿主因子の同定および分子レベルでのメカニズムの解明により、ウイルス増殖後期過程を標的とした新規抗ウイルス戦略の確立を目指した。本年度は、HIV-1のウイルス粒子産生を阻害する細胞性因子として同定されたTetherinのインフルエンザウイルスに対する作用を中心に解析を行った。 ヒトTetherinを恒常発現するMDCK細胞株を樹立し、インフルエンザウイルス増殖を解析した結果、有意なウイルス産生減少が確認された。また、Tetherinを恒常発現することが知られているHeLa細胞についてTetherin遺伝子に対するshRNAを恒常的に発現するTetherinノックダウンHeLa細胞株を樹立してウイルス増殖を解析した結果、ウイルス産生の増加が確認された。以上の成績から、Tetherinはインフルエンザウイルスに対しても抗ウイルス作用をもつことが示された。更に、10種類のインフルエンザウイルスタンパク質をそれぞれHeLa細胞に発現させ、Tetherin発現への影響を調べたが、何れのウイルスタンパク質もTetherin発現に影響を与えなかった。このことから、インフルエンザウイルスはHIVやエボラウイルスで報告されているようなTetherinアンタゴニストをコードしていないことが示唆された。 Tetherinの発現はI型IFNインターフェロンによって誘導されることが明らかになっているが、Tetherinの発現制御にかかわるシスエレメントについても解析を行った。その結果、ヒトTetherin遺伝子の上流域にはIRF、STAT、PAXなどのシスエレメントが存在することが明らかになった。
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Research Products
(3 results)