2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21590540
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
花田 俊勝 Oita University, 医学部, 助教 (10363350)
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Keywords | RNA / 発生・分化 / 免疫学 |
Research Abstract |
本研究では、新規RNAキナーゼClp1の生体内における分子機構を明らかにするため、その遺伝子改変マウスを樹立し、特に免疫系における生体機能を明らかにすることを目指した。今年度までに我々はCre-loxPによるゲノムDNA相同組み換えシステムを応用した組織特異的Clp1ノックアウトマウスとキナーゼ活性欠損ノックインマウスの樹立に成功した。さらにT細胞特異的Clp1遺伝子欠損マウスを樹立するため、2種類の異なるT細胞特異的Cre発現マウスであるLck-CreマウスおよびCD4-Creマウスと交配し、解析を行なった。胸腺におけるT細胞分化のより早期の段階で作用するLck-Creとの交配でT細胞の分化はほぼ完全に未成熟な段階で停止していた。しかしながらCD4-Creとの交配では胸腺におけるT細胞分化は正常であり、末梢においてはCD8T細胞は若干減少しているもののCD4T細胞の細胞分画はほぼ正常であった。このマウスは3、4ヶ月齢でほぼ全例において炎症性腸疾患を発症した。さらに詳細に検討したところ、このマウスでは調節性T細胞の数が有意に減少していた。同時に樹立したキナーゼ活性欠損ノックインマウスにおいては胸腺におけるT細胞分化および末梢におけるCD4およびCD8T細胞の数に異常はなく、また調節性T細胞も正常であり、腸炎等の発症は認めていない。このような所見からClp1分子は調節性T細胞のホメオスタシスに関与し、その機序にClp1のリン酸化機能は関与せず他の異なる機序が関与することが示唆された。本研究により樹立したT細胞特異的Clpl遺伝子欠損マウスはRNA代謝機構に関与する分子が炎症性腸疾患の発症に関与することを示した大変ユニークな生体モデルであり、今後その分子メカニズムを明らかにすることにより、臨床応用への可能性を目指したい。
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