2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21590540
|
Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
花田 俊勝 大分大学, 医学部, 助教 (10363350)
|
Keywords | RNA / 発生・分化 / 免疫学 |
Research Abstract |
前年度に引き続き、T細胞特異的Clp1遺伝子欠損マウスとキナーゼ活性欠損ノックインマウスを用いて解析を行ない、今年度は特にその分子メカニズムについて検討を行なった。Clp1遺伝子欠損T細胞は胸腺における分化過程においてCD4-CD8-の早い段階で増殖分化が障害され、アポトーシスにより細胞死を起こすことが認められた。しかしながらキナーゼ活性欠損ノックインマウスにおいて胸腺分化は正常であり、末梢における成熟CD4およびCD8T細胞の細胞数も正常であった。このことより、Clp1はRNAキナーゼとして働くのみでなく、またpre-mRNA cleavage complexおよびpre-tRNA splicing complexの構成分子であることから、これらcomplexのアダプターとして機能している可能性が示唆された。実際、Clp1遺伝子欠損T細胞においてpre-mRNAのcleavage異常による転写終結部位の延長を認めた。しかしながら、成熟tRNAの量的質的変化は認められなかった。この結果より、Clp1遺伝子欠損細胞のT細胞分化障害はpre-mRNAの成熟化異常によるものと考えられた。一方、キナーゼ活性欠損ノックインマウスはT細胞を含めた血球系細胞の分化とその機能に異常を認めなかったが、モーター神経の異常による運動障害を生じた。このマウス胎児より繊維芽細胞を作成し、分子メカニズムについて検討したところ、mRNAの成熟化に異常はなく、またtRNA成熟化機構においてもpre-tRNAのsplicingに異常はなく、tRNAのアミノアシル化等にも変化は認めなかった。しかしながら、Clp1遺伝子変異細胞において異常なtRNAフラグメントの集積を認めた。これが何らかの生理機能を有し、マウスの表現型に関係しているのではとの可能性について、現在さらに詳細な検討を行なっている。
|