2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21590542
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
水田 龍信 東京理科大学, 生命科学研究所, 准教授 (50297628)
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Keywords | ネクローシス / DNA断片化 / 無菌的炎症 / 酸化ストレス |
Research Abstract |
細胞死は大きくアポトーシスとネクローシスの二つに分類される。細胞死の際の180bpのDNA断片化はアポトーシスの指標とされている。我々はこれまで、アポトーシス時に見られるのと同様のDNA断片化がネクローシスの際にも見られることがあり、それを司っている酵素の一つがDNaseγであることを明らかにしてきた。DNaseγ遺伝子欠損マウス(KOマウス)に解熱鎮痛剤アセトアミノフェンを大量投与し、肝細胞ネクローシスを誘導したところ、野生型マウスに比べ、K0マウスでは感受性が亢進していた。この原因としては、昨年度までの研究で酸化ストレスが重要な要因であることが示唆されていたが、ネクローシスの原因とその制御メカニズムに関しては不明な点が多かった。今年度、特異的な阻害剤や抗体を用いた解析の結果、ネクローシスの直接的な原因として、酸化ストレスに伴い産生される毒性の高い低分子量の不飽和アルデヒドが関与することをつきとめた。これまでアセトアミノフェン誘導性肝障害の原因はアセトアミノフェンの代謝産物N-acetyl-p-benzoquinone imine(NAPQI)による細胞毒性が主たる原因といわれてきたが、実はこれは一次損傷の原因であり、さらなる損傷の拡大は、引き続いて生じる酸化ストレスとその副産物である不飽和アルデヒドによる二次損傷に因ることが明らかになった。KOマウスに比べ野生型マウスで損傷が抑制されるのは、DNA断片化により遊離するヌクレオソームに、この不飽和アルデヒドが捕捉されて中和される可能性と、DNA断片化により細胞の崩壊と遊離が促進され、不飽和アルデヒドの拡散を防いでいる可能性が考えられる。
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