2009 Fiscal Year Annual Research Report
抑制性マイクロクラスターによるT細胞活性化制御機構の研究
Project/Area Number |
21590548
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
横須賀 忠 The Institute of Physical and Chemical Research, 免疫シグナル研究グループ, 上級研究員 (10359599)
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Keywords | 免疫学 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
T細胞の活性化は、T細胞受容体(TCR)からと副刺激受容体からの二つのシグナルによって制御される。前者はT細胞活性化のオン・オフを、後者は、細胞分裂・サイトカイン産生・エフェクター細胞への分化など、活性化の方向性を決定する。T細胞の副刺激受容体には、活性型と抑制型が存在し、それぞれCD28とCTLA-4が知られている。両者は同じリガンドCD80/86を共有するため、CTLA-4はCD28とリガンドとの結合を拮抗阻害することで抑制効果を誘導すると考えられている。一方、T細胞活性化の場として、T細胞と抗原提示細胞との境界面に形成される「免疫シナプス」という二次元構造が知られている。我々は、免疫シナプスが、TCR数十個から成るシグナル分子の集合体「TCRマイクロクラスター」の集まりであり、中心部の受容体凝集体central supramolecular activation cluster(cSMAC)を構築していることを明らかにした(Nat Immunol, 2005)。また、近年、CD28もTCRと共にマイクロクラスターを形成し、特異的なプロテインキナーゼPKCθをcSMACヘリクルートし、T細胞の活性化を正に制御していることを明らかにした(Immunity, 2008)。更には、CTLA-4が強力なリガンド結合能力を有することで、CD28とPKCθのcSMACへの局在を阻害し、T細胞活性化を抑制していることを明らかにし、画像化に成功した(論文投稿中)。副刺激受容体シグナルの臨床応用は、既に癌免疫療法やアレルギー・自己免疫疾患などで進んでいる。副刺激受容体を介するT細胞活性化の制御メカニズムは、これまでのシグナル研究だけでは混沌としていたが、新たな視点から解明を進めることで、今後より効果的な副刺激受容体の利用法が期待できる。
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Research Products
(9 results)
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[Journal Article]2010
Author(s)
Tadashi Yokosuka
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Journal Title
Immunological Synapse(Current Topics in Microbiology and Immunology)(Springer-Verlag Berlin Heidelberg)
Pages: 81-107
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