2010 Fiscal Year Annual Research Report
抑制性マイクロクラスターによるT細胞活性化制御機構の研究
Project/Area Number |
21590548
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
横須賀 忠 独立行政法人理化学研究所, 免疫シグナル研究グループ, 上級研究員 (10359599)
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Keywords | 免疫学 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
T細胞シグナル伝達系の一分子イメージングというアプローチから、申請者は、T細胞と抗原提示細胞との境界面に形成されT細胞活性化の場として働く「免疫シナプス」が数十個T細胞受容体と下流のシグナル伝達分子の集合体「TCRマイクロクラスター」によって形成され、これらマイクロクラスターがT細胞の活性化を制御していることを明らかにしてきた(Nat,Immunol.,2005)。また、正の補助刺激受容価CD28が、特殊なプロテインキナーゼCθと共に、免疫シナプスの中央にできる中心部超分子クラスターで新たな活性中心を作り、T細胞の活性化を増強・遷延させていることを明らかにした(Immunity,2008)。今年度、申請者は、CD28とリガンドを共有する負の補助刺激受容体CTLA-4が、CD28とプロテインキナーゼCθとの中心部超分子クラスターへの局在を阻害し、T細胞活性化を抑制していることを明らかにした((Immunity,2010)。また.CTLA-4の抑制機構が自身の分子の高さに起因すること、また、この抑制メカニズムが制御T細胞の不応答のメカニズムにも寄与していることを明らかにした。細菌やウイルスなどの異物を排除するため、T細胞はこれら外来抗原を認識し活性化するが、免疫系全体の司令塔として働くT細胞の過剰な活性化は、自己免疫疾患などを誘発する司能性があり、生体にとって非常に危険である。これを回避するため、T細胞にはさまざまな負のフィードバック機構が備わっており、その中でもCTLA-4の抑制御は重要である。副刺激受容体シグナルの臨床応用は、既に癌免疫療法やアレルギー・自己免疫疾患などで進んでおり、イメージングという新たな視点から解明を進めることで、今後より効果的な利用法が期待できる。
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Research Products
(11 results)