2010 Fiscal Year Annual Research Report
研修医から見た卒前の診療参加型臨床実習の実態と問題点
Project/Area Number |
21590551
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
金塚 完 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (80214435)
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Keywords | 卒後臨床研修 / 診療参加型 / 診療参加型 / クリニカル・クラークシップ |
Research Abstract |
本研究の目的は,日本の医学教育では診療参加型臨床実習は,現実にどの様に実施されているかを把握することである。このため,対象をカリキュラムの実施側(大学または教員)ではなく,このカリキュラムで診療参加型臨床実習を受けてきた当事者の2年目の臨床研修医に置いてアンケート調査を実施した。目標とするアンケート総数を達成するため,昨年度に続き本年度も追加のアンケート送付を行い,ほぼ目標(2年目研修医の約10%にあたる800通)に近い746通を回収する事ができた。これらは既に統計処理の過程にある。これらの結果から特に重要な項目を以下に挙げる。 1)臨床実習は5学年前期と後期に実施された学生数が最も多く(655名,680名),ついで6学年前期(501名)が続いた。6学年後期は37名とわずかであり,この時期が国家試験対策に充てられ,これが臨床実習の期間を短縮させていると考えられる。 2)診療参加型臨床実習では,医師としての基本的能力・資質を習得する事が目的であり,細切れのプログラムではなく選択性等で主要診療科で過ごす時間を長くする事が重要と考えられているが,82%の学生は全科必修のプログラムを受けていた。 3)実習に入る前の実技指導は,74%で実技実習,22%では講義のみであった。守秘義務の遵守に関しては80%が講義のみで,受けなかったが11%認められた。 4)診療参加型臨床実習ではグループ診療体制の整備が特に重要であるが,概ね整備されていたは26%にすぎず,診療科によってまちまちが69%,5%では整備されていなかった。 5)臨床実習中に実施した実技では視診,触診,打診に加え,簡単な器具での診察は90%以上で実施されていたが,耳鏡,鼻鏡,眼底鏡などは約50%の実施率であった。 これらの結果は,日本の診療参加型臨床実習の問題点を明確に示しており,今後さらなる解析が必要と考えられた。
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