2011 Fiscal Year Annual Research Report
研修医から見た卒前の診療参加型臨床実習の実態と問題点
Project/Area Number |
21590551
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
金塚 完 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (80214435)
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Keywords | 卒臨床研修 / 診療参加型 / 臨床実習 |
Research Abstract |
本邦では「診療参加型臨床実習」のあり方が大学間で統一されておらず,また,医師法と学生に許容される医療行為の間の法整備が不十分で,実施されている診療参加型臨床実習の内容は大学間でかなり異なる。本研究では,2年目の初期研修医にアンケート調査を実施し,彼らが学生時代に経験した診療参加型臨床実習の実態を調査した。今年度は回収された746通のアンケートを解析し、以下の結果を得た。臨床実習を受けた時期は5学年の前期(655人)と後期(680人)が大部分であり、これに次いで6学年前期が(501人)であった。他の期間の実施率はわずかであった。また、全科必修が82%を占めていた。グループ診療体制が整備されていたのは26%,学生の医療事故に向けた保険加入の義務化は11.3%であった。学生の医行為は系統的な全身の視・打・触診と簡単な器具での全身の診察は、全学生の約95%が自ら経験していたが、耳鏡、鼻鏡、眼底鏡等を用いた診察の経験者は約50%、内診や婦人科的な診察では約80%が見学または見学もなしであった。検査・治療においても、心電図検査、超音波検査、末梢静脈採血、皮膚消毒、手術介助、バイタルサインチェックが約50%の経験率であり、これ以外は見学主体の実習であった。これらの結果から、卒前の臨床実習の改善に向けた提言として,実習体制ではグループ診療体制の整備,保険加入の義務化などが必要であり,学生の医行為では,診療に参加させるカリキュラムの整備、学生の医療行為に関する法整備、医行為の順次性や許可範囲の統一規定の設置が必要と考えられた。本研究の意義として日本における診療参加型臨床実習の現状を知る重要な資料であることが挙げられる。これらの調査結果は、研究報告書として冊子(27頁)にまとめ、全国の医学部、医科大学、アンケートに協力して頂いた研修病院に送付した。
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