2010 Fiscal Year Annual Research Report
電子的クリニカルパスのためのアウトカム用語の標準化
Project/Area Number |
21590554
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小出 大介 東京大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (50313143)
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Keywords | アウトカム / クリニカルパス / 電子カルテ / 標準化 / 用語 |
Research Abstract |
日本の医療分野においてクリニカルパス(以下パスと略す)が広く利用されるようになり、近年は地域連携パスも普及し始めている。一方、電子カルテの普及に伴い、パスを電子化する病院も増えている。しかし紙のパスを電子化することは、単に媒体が違う以上に運用や管理も含めて変わってくる。特に電子化では用語を管理するためにマスターが必要となるが、各医療機関で独自にマスターを作成することは、労力と時間がかかるだけでなく、独自性が将来的なシステム更新や地域連携パスへの発展の障壁となりかねない。逆に共通のマスターを使うことで、施設間の比較が容易となり、評価や質的向上へ繋げることができる。 そこで本研究では各施設のパスを収集して分析し、アウトカム項目の標準的なマスターを作るとともに、それらをWeb上で公開し、様々な施設の今後の電子的パス作成に寄与することを目的とした。 研究の2年目にあたる平成22年度は、2年間に収集した30施設から301種類の医療者用パスから5,000件(重複を含む)のアウトカムが抽出された。標準化作業において、1文に複数概念を含む場合は、1文1概念に整理した。また複数の表現で同じ概念である場合は、簡単な1つの表現にまとめた。さらに疾患や処置に特異的である必要がない表現は一般化した。そして重複を除き、整理された代表アウトカムとしては、「中間アウトカム」452種類、「最終アウトカム」104種類となった。さらにいずれも「合併症」に関するアウトカムが多くなったが、相互の違いとしては、中間アウトカムでは「患者理解」に関する事項が多く、一方、最終アウトカムでは「合併症」に関する事項が多いことが判明した(p=0.0019)。 今後の社会的な合意形成としては、パスライブラリーを管理する委員会に結果を還元するとともに、インターネットにも公開して一般からの意見を取り込むことにしている。
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