2009 Fiscal Year Annual Research Report
Administrative Dataを用いたリスク調整と医療の評価手法の開発
Project/Area Number |
21590556
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
伏見 清秀 Tokyo Medical and Dental University, 医学部附属病院, 准教授 (50270913)
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Keywords | 診断群分類 / 医療データ / 医療サービス研究 / 診療プロセス分析 / 患者リスク調整 |
Research Abstract |
医療の質に対する関心が高まり医療の評価が求められているが、我が国では分析に利用できるデータが乏しく研究は進んでいない。諸外国では患者登録、医療費支払い、厚生統計等のために収集されているAdministrative Data(医療業務データ)を二次的用いた研究が成果を挙げているが、わが国でも急性期医療に関してDPC(Diagnosis Procedure Combination)診断群分類を用いた調査データが収集されるようになり、医療業務データの医療評価研究への応用が可能となってきている。そこで、本研究では、我が国における医療業務データの研究利用を促進するために、我が国の医療業務データの質の評価、医療業務データを用いた分析手法の検討、およびDPC調査データを用いた患者リスク調整の妥当性の検証を行った。DPC調査データ、厚生労働省のDPC調査公表データ、地域医療データ等の医療administrative dataより地域疾病データベースを構築し、以前に報告した方法(Sundararajan et al, Medical Care, 2007)により傷病名情報と診療プロセス情報のアウトカム予測力を、多重ロジスティック解析とC統計値を用いて検討した。わが国のデータでは傷病名情報量が少ないため、主傷病を除いた副傷病等に基づく院内死亡予測のC統計値は0.72程度とカナダ、フランス、スウェーデン、スイス等の結果よりやや低値であった。これに対して中心静脈注射、人工呼吸、留置カテーテル等の診療プロセス情報を追加すると予測精度の改善を認めた。本研究結果は、入院患者の日々の診療行為を表す電子的にコード化されたデータを含むわが国の診療プロセス情報の特徴を活かし、医療業務データを用いた医療評価研究の基礎が築かれ、研究データの質の確保とともにさまざまな医療研究への応用に結び付くことが期待される。
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