2010 Fiscal Year Annual Research Report
医療安全に直接効果を発揮する安全管理システムの開発と評価
Project/Area Number |
21590567
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
松本 武浩 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (20372237)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本多 正幸 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (10143306)
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Keywords | リスクマネジメント / インシデントレポート / E-ラーニングシステム |
Research Abstract |
医療の安全管理においてインシデントレポートによる管理手法は定着しており、レポートのオンライン化が普及しつつある。しかしながら市販のインシデントレポートシステムの多くはオンライン報告とデータベース化が目的であり、医療安全に直接効果を示すものではない。我々は、「インシデントレポートの積極的閲覧促進」と「再発防止策の確実な評価」により、直接的な安全効果を発揮するシステムを開発した。本研究は、本システムの医療安全効果の評価を目的としている。平成21年度の検討では、本システム導入により、システム上でのレポート閲覧件数が、1年目は月平均1,921.2件、2年目は5,561.1件と順調に増加し、レポート報告数は運用前の年957件に対し、1年目は2,015件、2年目は1,952件と倍増していたのに対し、影響レベル3b以上のインシデントは、運用開始前が、3.6%(34件)に対し、運用開始後1年目が1.2%(24件)、2年目が1.1%(22件)と減少していたことから、平成21年度時点で、本システムの安全効果は有効と判断した。さらに本システム上で安全教育に特化したE-ラーニングシステムを開発し、運用を開始した。医療安全に関する集合教育をビデオ化しコンテンツとして搭載し、利用状況を集合教育出席者数とで比較したところ、平成21年度に実施した4回の集合教育の総出席者数は1,239名に対して同教育内容をビデオ化したE-ラーニングシステム受講者は3,008名であり、受講者全体の70.8%を占めていた。これに対して平成20年度は集合教育欠席者に対しDVDを配布し閲覧を促していたため、これと比較したところ、集合教育出席者2,531名に対してDVD利用者は1,506名と全体の37.3%であり、有意に本システムの利用率が高かった。一般にE-ラーニングの利用率を向上させるのは容易でないとされているが、日々レポート閲覧に利用されている本システム上に構築したことで利用率が極めて高い結果になったものと思われ、レポート閲覧およびE-ラーニングの利用度の高さから高い医療安全効果が期待される。平成23年度はE-ラーニングも含めた本システムの医療安全への効果を総括する。
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