2011 Fiscal Year Annual Research Report
医薬品副作用シグナル検知システムへのテキストマイニング技術の応用に関する研究
Project/Area Number |
21590571
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
村永 文学 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (00325812)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊本 一郎 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (40225230)
宇都 由美子 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 准教授 (50223582)
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Keywords | 薬剤疫学 / data warehouse / data mining / 医薬品相互作用 / 医薬品副作用シグナル検知 |
Research Abstract |
近年、市販後治験(PMS)の手法として、自発報告の中から優先的に検討すべき重要なadverse drug reaction(医薬品副作用。以下ADR)の疑いを、統計的に選び出すシグナル検出法の研究が進んでいる。我々は過去の研究で、実験的に「新薬が追加された後、既存のある医薬品と相互作用による有害事象が発生した」ことを想定した薬歴と検査結果値のデータ群を作成し、この想定された相互作用薬を発見可能かどうか評価を行った。その結果、相互作用の発症率を25%程度に下げてもパラメータの調整を行うことで想定する相互作用薬を発見可能であることが判明した。本研究では、総合病院情報システムに蓄積された薬歴と検査結果、カルテの記事から、薬剤相互作用による白血球減少症の発症について相互作用薬を実験系と同様の手順で発見可能か、どのような技術的な問題があるかを検証した。対象は、2008年~2009年に当院に入院し前立腺癌の化学療法を受けた患者を対象とした。実験の結果、2009年の症例について発見したIF-THENルールのうち、2008年の症例から得た知識データベースに含まれないものが35万レコードにも及んだ。これは、2008年の症例と2009年の症例に処方された薬剤種の差が大きいことに起因する。発見されたIF-THENルールを算出されたlift値の大きい順に並び変え、ある程度白血球減少症に関連のある薬剤候補としてあげることは可能であったが、多くが既に白血球減少症を単独で発生させることが添付文書に明記されている薬剤と、たまたまその患者に処方されていた薬剤群であった。結果として新規の医薬品相互作用の発見には至らなかった。以上より、発生頻度が低く、クリティカルな有害事象については、十分に整備された知識辞書が必須であり、その整備方法については、過去の薬歴をクレンジングして採用し、知識辞書を構築する方式では限界があると考えた。
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