2009 Fiscal Year Annual Research Report
がん患者へのインフォームド・コンセントを巡る医療者コミュニケーションの質的研究
Project/Area Number |
21590577
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
有田 悦子 Kitasato University, 薬学部, 講師 (60220240)
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Keywords | 医療の質 / がん患者 / インフォームド・コンセント / 医療コミュニケーション / 質的研究 |
Research Abstract |
抗がん剤導入にあたっては、医療者から患者およびその家族へのインフォームド・コンセントが重要となる。現状ではインフォームド・コンセントの本来の意味である"説明を理解し、納得した上での自発的な同意"の実践には様々な困難が伴う。その原因としていくつかの要因が考えられるが、我々は医療者-患者間のコミュニケーションギャップに着目して本研究を企画した。 初年度である今年は、患者の抗がん剤治療に対する意識やインフォームド・コンセントの理想と現実につて調査し、現状を把握することを目的とした。 研究の主旨を説明し協力同意が得られた抗がん剤治療中の患者60名に対してアンケート調査を実施した。本研究は、北里研究所病院研究倫理委員会の承認を得て実施した。 回答が得られた50名について検討を行ったところ、抗がん剤開始時の医療者からの説明内容については「理解できた」、「どちらかといえばできた」と答えたものは全体の82%、「理解できなかった」、「どちらかといえばできなかった」と答えたものは全体の8%だった。更に「理解できなかった」理由を聞いたところ医療者との知識のギャップが指摘された。説明を受けた後の気持ちについて聞いたところ「安心した」、「不安が減った」と答えたものが45%いた一方で、「かえって不安が増した」と答えたものが11%いた。「受けた説明内容の理解度」との関連をみたところ「理解できた」と答えたものは「理解できなかった」と答えたものよりも有意に「説明によって安心した」と答えている傾向が認められた。 本研究の結果から、抗がん剤治療開始時の医療者からの説明に対する患者の理解度が不安の軽減に寄与している可能性が示唆され、より患者の立場に立った説明の重要性が示された。アンケートの自由記述にも様々な意見が記入されており、これらを参考に抗がん剤治療中の患者が抱える不安について更に明確化していく予定である。
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Research Products
(1 results)