2009 Fiscal Year Annual Research Report
腎細胞癌のマトリックス・リモデリング制御機構に着目した個別化抗血管新生療法の検討
Project/Area Number |
21590590
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
神波 大己 Kyoto University, 医学研究科, 助教 (20402836)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西山 博之 京都大学, 医学研究科, 准教授 (20324642)
小川 修 京都大学, 医学研究科, 教授 (90260611)
兼松 明弘 京都大学, 医学研究科, 講師 (90437202)
渡部 淳 京都大学, 医学研究科, 助教 (10452335)
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Keywords | 腎細胞癌 / マトリックスリモデリング / 抗血管新生療法 |
Research Abstract |
1)VHL-/-及びVHL+/+RCC細胞株を用いたin vitroでのMMPシグナノレ伝達経路の同定 786-O subcloneであるVHL-/-RCC(pRC3)及びVHL+/+RCC(WT8)において、MMP2,9の発現及び活性をRT-PCR、Western blotting、 zymogram、浸潤能をinvasion assayにて調べると、PRC3でMMPの発現が強く、VHL遺伝子変異によるMMP制御が考えられた。また我々はJunBがVHL遺伝子により制御されていることを報告しており、JunBがMMPを制御している可能性が示唆された。 2)腎細胞癌におけるJunBノッキングダウンの影響 VHL変異を有する腎細胞癌細胞株(786-0, A498)でshort hairpin RNA(shRNA)によるJunBの抑制を行ったところ、in vitroにおけるMMPの発現と浸潤能は低下を認めた。さらにxenograftにおける腫瘍増生能は著明に抑制された。 Xenograftの腫瘍を解析すると血管新生が抑制されているものの、腎細胞癌の主要な血管新生因子であるVEGFの発現の変化は認めなかった。腫瘍を電子顕微鏡下に観察すると、細胞外基質が密になっている所見がえられ、in vivoにおいてもproteinaseの変化が示唆された。逆に、786-0にwild typeのpVHLを再導入した細胞株(WT8)においてJunBを強制発現させると、in vivoにおける腫瘍増生の促進、in vitroにおけるMMP-2と浸潤能の増強を認めた。さらに、JunBの上流であるatypical PKCをPKC inhibitorにより抑制すると、MMP-2の発現低下と浸潤能の低下を認めた。 以上より腎細胞癌においてVHL不活化に伴うJunBの活性化はin vivoにおける腫瘍形成能に寄与しており、その機序としてMMP-2を介した血管新生が考えられる。そのためJunBとその上流と考えられるaPKCは腎細胞癌の血管新生、腫瘍増生を抑制する新規分子標的になりうると考えられ、今後臨床検体におけるJunBの発現の評価、xenograft腫瘍における抗血管新生療法の効果への関与を検討する予定である。
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