2010 Fiscal Year Annual Research Report
腎細胞癌のマトリックス・リモデリング制御機構に着目した個別化抗血管新生療法の検討
Project/Area Number |
21590590
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
神波 大己 京都大学, 医学研究科, 講師 (20402836)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西山 博之 京都大学, 医学研究科, 准教授 (20324642)
小川 修 京都大学, 医学研究科, 教授 (90260611)
兼松 明弘 京都大学, 医学研究科, 講師 (90437202)
|
Keywords | 腎細胞癌 / マトリックス・リモデリング / 抗血管新生療法 / JunB / VHL |
Research Abstract |
1) 臨床検体75例におけるJunB免疫染色 VHL変異を有する淡明型腎細胞癌症例ではVHL野生型症例に比べJunBの発現増強を認めた。 2)VHL変異型賢癌細胞株(786-O/A498)におけるJunB発現抑制の影響 786-O/A498に野生型VHLやHIFを発現したクローンでの検討により、細胞浸潤能、JunBの発現は共にHIF-independentに制御されていることを確認した。JunB高発現株である786-O/A498においてshort hairpin RNA(shRNA)を用いてJunBの発現抑制を行ったところ、in vitroでの細胞浸潤能の低下、in vivoでの腫瘍増生・血管新生・腫瘍細胞の腎実質への浸潤の減少が確認された(ヌードマウス皮下移植モデルおよび腎皮膜下移植モデル)。さらに、786-Oに野生型VHLを安定発現させた細胞(WT8)にJunBを強制発現すると、in vitroでの細胞浸潤能、in vivoでの腫瘍増生と血管新生が共に増強された。 3) PCR ArrayによるJunB下流エフェクターの検索 Jun8が制御する遺伝子を探索するため、PCR Arrayを用いて血管新生とextracellular matrixに関する168遺伝子に関して網羅的解析を行ったところ、MMP-2/9, CCL2などの遺伝子の発現が変化した。また、JunB発現抑制によりMMP-2/9の蛋白活性の低下、CCL2蛋白の発現量低下が確認された。さらに、786-Oのヌードマウス皮下移植モデルにCCL2中和抗体を投与すると、腫瘍増殖と血管新生が抑制された。 以上の結果より、JunBはVHL遺伝子不活化を有する淡明型腎細胞癌の浸潤や血管新生を制御しており、その下流エフェクターとして、MMP-2/9やCCL2などの浸潤・血管新生に関与する遺伝子が同定された。それゆえ、JunBは淡明型腎細胞癌の血管新生や浸潤に対する新規分子標的になりうる可能性が示唆された。
|
Research Products
(3 results)