2011 Fiscal Year Annual Research Report
腎細胞癌のマトリックス・リモデリング制御機構に着目した個別化抗血管新生療法の検討
Project/Area Number |
21590590
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
神波 大己 京都大学, 医学研究科, 講師 (20402836)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 修 京都大学, 医学研究科, 教授 (90260611)
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Keywords | 腎細胞癌 / マトリックス・リモデリング / 抗血管新生療法 / JunB / VHL / MMP-2/9 / CCL2 |
Research Abstract |
1)JunB下流エフェクターの検索 JunBが制御する遺伝子を探索するため、血管新生とextracellular matrixに関するPCRarrayを行い、浸潤および血管新生に関与するものとしてMMP-2、CCL2を候補に見出した。 JunB高発現株(786O/A498)においてshort hairpin RNA (shRNA)を用いて作成したJunB発現抑制株の解析から、JunB発現抑制によりMMP-2およびCCL2の発現・分泌が低下することを確認した。 また、プロモーター解析からJunBはAP-1binding siteを介してMMP-2およびCCL2の発現を制御していると考えられた。 2)JunB下流エフェクターとしてのMMP2およびCCL2の機能解析 MMP2発現抑制株およびCCL2発現抑制株を作成して解析を行ったところ、in vitroにおける細胞増殖には変化がなかったものの浸潤能の低下を認めた。In vivoにおいては、ヌードマウス皮下移植モデルにより、腫瘍の増殖と血管新生が著明に抑制されることが確認された。いずれの結果も、JunB発現抑制株の解析と同様の結果であり、JunBの下流エフェクターとしてMMP-2やCCL2が作用し、浸潤・血管新生に寄与するものであるとの示唆が得られた。 以上の結果より、JunBはVHL遺伝子不活化を有する淡明型腎細胞癌の血管新生や浸潤を制御しており、その下流エフェクターとして、MMP-2やCCL2などの浸潤・血管新生に関与する遺伝子が同定された。 進行性腎細胞癌に対するVHL-HIF-VEGFを標的とした既存の分子標的薬治療の効果が十分でない現状において、これとは全く別の経路であるVHL JunB経路におけるMMP-2/9やCCL2などの分子が淡明型腎細胞癌の血管新生や浸潤に対する新規分子標的となる可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)