2009 Fiscal Year Annual Research Report
神経細胞新生を基盤とした治療抵抗性うつ病の病態解明および治療薬開発
Project/Area Number |
21590593
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
北村 佳久 Okayama University, 大学院・医歯学総合研究科, 准教授 (40423339)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川崎 博已 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (60125151)
浅沼 幹人 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (00273970)
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Keywords | 治療抵抗性うつ病 / 抗うっ薬 / 視床下部-下垂体-腎皮質系 / モノアミン / ドパミン / 脳内透析法 / ドパミントランスポーター / 行動薬理学 |
Research Abstract |
これまで、申請者は下垂体ホルモンであるadrenocorticotropic hormne(ACTH)を反復投与した視床下部一下垂体一副腎系過活動モデル(ACTH反復投与ラット)は既存の抗うつ薬の抗うつ効果が消失することより、治療抵抗性うつ病の動物モデルとして有用であることを明らかにしている。さらに、治療抵抗姓うつ病の病態メカニズムの解明ならびに次世代の抗うつ薬のりード化合物を探索すべく創薬研究を行った結果、既存の抗うつ薬とは異なるドパミン神経作用薬が有効であることを明らかにした。そこで、本研究ではドパミン神経作用薬による抗うつ効果発現ならびに脳内作用機序の解明するために行動薬理学的および神経生化学的研究を行った。 (1) ACTH反復投与ラットを用いたドパミン神経作用薬の抗うつ効果発現における脳内作用部位探索とドパミン受容体の同定 ドパミン神経作動薬であるbupropion(ドパミン再取り込み阻害薬)およびpra,ipexole(ドパミンD2/D3作動薬)は内側前頭前野への微量投与により何ら影響しなかったが、側坐核への微量投与により不動時間短縮作用、すなわち抗うつ効果を認めた。この作用はACTH反復投与ラットでも同様に認められた。さらに、bupropionおよびpramipexoleの抗うつ効果はドパミンD2およびD3受容体拮抗薬で拮抗された。 (2) ドパミン游離およびドパミン再敗り込み機能に対する影響 上記(1)で示したbupropionによる抗うつ効果の作用機序を神経生化学的に明らかにする目的で、脳内透析法による側坐核におけるドパミン遊離量変化、さらにドパミントランスポーターの発現変化を検討した。その結果、bupropionの投与によりドパミン遊離量は増加した。その増加作用はACTH反復投与ラットでも同様に認められた。さらに、ACTH反復投与によりドパミンドランスポーターに変化は認められなかった。 本研究により、視床下部-下垂体一副腎系過活動におけるドパミン神経作動薬は治療抵抗性うつ病に対して有効で~り、その作用には側坐核におけるドパミン神経機能の充進が考えられた。
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