2010 Fiscal Year Annual Research Report
神経細胞新生を基盤とした治療抵抗性うつ病の病態解明および治療薬開発
Project/Area Number |
21590593
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
北村 佳久 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (40423339)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川崎 博己 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (60125151)
浅沼 幹人 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (00273970)
|
Keywords | 治療抵抗性うつ病 / 抗うつ薬 / 視床下部-下垂体-副腎皮質系 / 細胞新生 / 海馬 / 電気けいれん療法 / 免疫組織化学的研究 |
Research Abstract |
現在の抗うつ薬は最終的にシナプスにおけるモノアミン含量を増加させる薬剤である。しかしながら、期待する抗うつ効果の発現時期とモノアミン含量の増加する時期の時間的な相違など抗うつ効果とモノアミン動態との間には多くの矛盾が指摘されている。1990年代になってうつ病病態に「ニューロジェネシス」の概念が導入されてきた。中でも、海馬における神経細胞の新生は脳内における神経回路網の形成や発達だけではなく、抗うつ効果発現にも極めて重要であることが明らかにされつつある。さらに、神経細胞の新生はうつ病患者において低下する報告や、その一方、抗うつ薬の投与により神経細胞新生の促進が報告されている。これまで、申請者は治療抵抗性うつ病の動物モデルとして視床下部-下垂体-副腎系過活動モデル(ACTH反復投与ラット)を用いて検討してきた結果、ACTH反復投与ラットは既存の抗うつ薬の抗うつ効果が消失する治療抵抗性うつ病の動物モデルとして有用であることを明らかにしている。 そこで、本年度はACTH反復投与モデルを用いて海馬における細胞新生への影響について検討を行った。その結果、ACTH反復投与により海馬における細胞新生は抑制されることを見出した。さらに、この抑制作用はimipramine投与により回復しないものの、lithiumとの併用投与により正常化した。また、治療抵抗性うつ病に有効な治療である電気けいれん療法は細胞新生を著明に促進させた。以上の結果より、治療抵抗性うつ病の病態には細胞新生の抑制が考えられ、その改善には細胞新生の改善が必要であることを明らかにした。
|
Research Products
(12 results)