2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21590594
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
劉 克約 Okayama University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (40432637)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西堀 正洋 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (50135943)
高橋 英夫 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (60335627)
|
Keywords | 脳梗塞 / 脳浮腫 / 血液脳関門 / 抗体治療 / HMGB1 |
Research Abstract |
High mobility group boxl (HMGB1)は壊死細胞核から細胞外へ放出される新規サイトカイン分子である。申請者は、HMGB1を標的とする抗体医薬を発想し、すでにラット中大脳動脈2時間閉塞・再灌流モデルを用いて、抗HMGB1単クローン抗体の劇的な脳梗塞の改善脳浮腫の抑制作用を明らかにしてきた。本研究ではこれまでに持った3つの単クローン抗体のエピトープの決定を行った。N末端から15アミノ酸残基長の長さで合成した5アミノ配残基ずつずらした合成ペプチドをナイロン膜上にドットし、各単クローン抗体の結合を評価した。その結果、#10-22はHMGB1の末端配列を他の2クローン(#11-19, #4-1)はB-box内の共通配列を認識した。プラズモン共鳴法による親和性の解析で#10-22が最も親和性の高い抗体であることが分かった。脳虚血後のHMGB1分子の局在変化を検討した。虚血再灌流12時間後、上昇した血中HMGB1の濃度は抗HMGB1単クローン抗体の投与によって著明に低下した。免疫染色でHMGB1の脳内分布を調べた。正常脳の神経細胞核に存在するHMGB1は虚血再灌流障害の刺激で三つの変化パターンを示した。HMGB1の細胞核内分散、移動を示した像は虚血側の線条体領域によく見られ、HMGB1の細胞核から細胞内へ放出の像は大脳皮質、線条体の周囲に多く見出され、HMGB1の細胞内からの放出像は視床下部領域が多かった。これらの結果は、虚血再灌流障害の炎症応答における細胞死とHMGB1の放出過程を示している。脳の毛細血管周囲の変化と血管透過性をエバンスブルー漏出を指標として評価した。抗体投与により、エバンスブルー漏出量を減少した。レーザー走査共焦点顕微鏡を用いて虚血領域に漏出したエバンスブルー/アルブミン複合体を観察すると、複合体は虚血領域の神経細胞内に取り込まれる可能性が示唆された。
|
Research Products
(4 results)