2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21590594
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
劉 克約 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (40432637)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西堀 正洋 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (50135943)
高橋 英夫 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (60335627)
|
Keywords | 脳梗塞 / 脳浮腫 / 血液脳関門 / 抗体治療 / HMGB1 |
Research Abstract |
High mobility group box1(HMGB1)は壊死細胞核から細胞外へ放出される新規サイトカイン分子である。申請者は、HMGB1を標的とする抗体医薬を発想し、すでにラット中大脳動脈2時間閉塞・再灌流モデルを用いて、抗HMGB1単クローン抗体の劇的な脳梗塞の改善脳浮腫の抑制作用を明らかにしてきた。虚血再灌流障害の炎症応答における細胞死とHMGB1の放出過程を明らかにした上、22年度からファーマコセル株式会社が開発した世界初である生体の複雑な血液-脳関門(BBB)と近似的な機能を持つBBB in vitro再構成系モデルを用いて、虚血再灌流障害によりBBB透過性亢進のメカニズムと抗HMGB1抗体の効果を検討した。BBBはその構成細胞である脳毛細血管内皮細胞、周皮細胞(ペリサイト)及び星状神経膠細胞(アストロサイト)3種類の細胞で構成される。BBBモデルにHMGB1を添加すると濃度依存的に血管側から脳側へエバンスブルーの漏出が見られ、抗HMGB1抗体を添加することによって、エバンスブルーの漏出は著明に減少された。一方、ファロイジン蛍光染色で3種類のBBBの構成細胞を蛍光顕微鏡で観察した。コントロール群のペリサイト細胞の線維状に重合している緻密なアクチン配列像はHMGB1を添加するによって、細胞の輪郭が消えたり、細胞と細胞の隙間が大きくなったり、明らかに変化した。血管内皮細胞、アストロサイト細胞は微小な変化しか見られなかった。タイトジャンクションの離開によって血漿タンパクが脳内への漏出し、Na+、グルタミン酸などの輸送体や水チャネルのアクアポリンなどの機能障害による水と電解質の貯留が生じる脳浮腫の病態はペリサイト細胞の変化が大きく関与していることが示唆された。
|
Research Products
(6 results)