2009 Fiscal Year Annual Research Report
腎障害の発症進展ならびに修復機転におけるマクロファージの多面的作用の解析
Project/Area Number |
21590600
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
三浦 克之 Osaka City University, 大学院・医学研究科, 教授 (00183624)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
泉 康雄 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 講師 (10347495)
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Keywords | 腎線維化 / マクロファージ / 樹状細胞 |
Research Abstract |
従来よりマクロファージ除去薬として知られるliposome clodronateを用い、腎線維化モデルであるマウス一側尿管閉塞に対する効果を検討した。尿管閉塞後5日目における腎組織を酵素処理することで得られた腎細胞浮遊液をフローサイトメータで解析することにより腎内の炎症細胞の数を調べた。尿管閉塞によりF4/80+マクロファージ、F4/80+樹状細胞、F4/80-樹状細胞に加え、少ないながら好中球およびT細胞の増加が観察された。liposome clodronate処置によりF4/80+マクロファージ、F4/80+樹状細胞の増加は著しく抑制されたが、その他の細胞数には影響を与えなかった。さらに尿管閉塞時に認められた腎線維化および尿細管細胞のアポトーシスは著しく抑制された。さらにTNF-α、TGF-βおよびcollagen IIIの遺伝子発現も尿管閉塞により著明に亢進したが、これらの変化はliposome clodronateにより抑制された。これらの結果よりliposome clodronateは尿管閉塞腎においてF4/80+マクロファージおよび樹状細胞に選択的に作用し、その腎への浸潤を抑制することが明らかになった。さらにこれらの細胞がTNF-α、TGF-β産生の上昇を介して閉塞腎における尿細管細胞のアポトーシスと線維化病変を惹起している可能性が示唆された。次に樹状細胞に注目し腎線維化における役割を検討する目的でCDllc DTR mouseを用いて検討した。一側尿管閉塞を行い、ジフテリア毒素を投与すると選択的に樹状細胞数の増加を抑制することが出来た。しかしながら、TNF-α、TGF-βおよびcollagen IIIの遺伝子発現の上昇および腎線維化に対しては全く影響を認めなかった。従って本モデルの腎線維化には樹状細胞の関与は少ないと考えられた。
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