2009 Fiscal Year Annual Research Report
肺静脈の電気的興奮を制御する心房細動治療標的分子に関する研究
Project/Area Number |
21590602
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
高原 章 Toho University, 薬学部, 准教授 (80377481)
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Keywords | 心房細動 / 肺静脈 / 薬物治療戦略 / 異常自動能 / イオンチャネル |
Research Abstract |
肺静脈心筋の静止膜電位は心房筋より浅いことが知られている。肺静脈で電気刺激により誘発される撃発活動の電気薬理学的特性を検討した。モルモットから肺静脈および左心房を摘出し、 Krebs-Henseleit液中で微小電極法を適用して心筋活動電位を記録した。標本に高頻度電気刺激を与え、撃発活動の誘発性および薬物応答性を評価した。周期長100msの頻回刺激を与えたところ、最終刺激に対する応答後に第4相の緩徐脱分極とそれに引き続く自発興奮が観察された。この刺激条件下では46/48例の肺静脈にこのような撃発活動が観察されたが、左心房標本には認められなかった(0/8例)。また、撃発活動の発生率は4本の肺静脈でほぼ同程度であった。肺静脈の撃発活動の発生率および自発興奮の発生数は刺激頻度に依存して増加し、連結周期長は刺激頻度に応じて短縮した。頻回刺激後の自発興奮の発生数はベラパミル(1μM)、リアノジン(0.1μM)およびピルジカイニド(10μM)により有意に減少した。また、肺静脈心筋ではカルバコール(0.3μM)により静止膜電位の過分極および活動電位持続時間の短縮が認められ、撃発活動の発生はカルバコール処置により完全に抑制された。以上の結果より、肺静脈は撃発活動が誘発されやすい電気生理学的性質を有することが示された。撃発活動に対する薬物応答性は心室筋における従来の報告と同様であり、細胞内Ca^<2+>の過負荷が撃発活動の発生に関与することが推定された。また、肺静脈における撃発活動の発生に静止膜電位の違いが寄与する可能性が考えられた。
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Research Products
(7 results)