2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21590603
|
Research Institution | Osaka Ohtani University |
Principal Investigator |
雪村 時人 大阪大谷大学, 薬学部, 教授 (10145774)
|
Keywords | 急性腎不全 / 腎虚血再灌流障害 / ノルエピネフリン / 活性酸素種 / モノアミンオキシターゼ |
Research Abstract |
これまでの研究で、カテコラミンの代謝を担うmonoamine oxidase (MAO)の内因性阻害因子として知られているイサチンが腎内ノルエピネフリン濃度を上昇させることにより腎虚血再灌流障害をさらに悪化させることを報告した。そこで、慢性腎臓病(CKD)においても同様に腎内NE濃度の上昇が病態の発症進展に深く関与しているのではないかと考え、CKDモデルラットを用いて経時的に腎静脈血漿中ノルエピネフリン濃度の測定を行った。実験動物には8週齢の雄性SD系ラットを用いた。CKDモデルとして5/6腎臓切除モデルを使用した。左腎を2/3切除した後、回復期間を1週間置き、右腎を摘出することによりCKDモデルを作製し、これをCKD群とした。なお、5/6腎臓切除しないものをsham群とした。また右腎を摘出した時点を0週目とし、ラットを12週間飼育した。0、2、4、8、12週目においてtail-cuff法により血圧測定、採尿・採血で得られた血液・尿より腎機能パラメーターを測定した。12週目においては腎静脈、腹部大動脈より採血を行い、得られた血液より腎静脈、大動脈血漿中NE濃度を測定した。また別のラットを用いて2週目の腎静脈、大動脈血漿中ノルエピネフリン濃度を測定した。その結果、CKD群ではsham群と比較して、有意な血圧の上昇がみられた。またCKD群では血中尿素窒素、血漿中クレアチニン、尿中たんぱく排泄量の有意な増加が認められた。腎静脈血漿中ノルエピネフリン濃度はOwから2wにおいてsham群と比べCKD群では有意に高い値を示し、その後低下したものの12wまで高い値を維持した。以上の結果より、病態発症初期における腎内ノルエピネフリン濃度や血圧の上昇がCKDの病態進行に関与している可能性が示唆された。今後はα_1受容体拮抗薬プラゾシン、α_2受容体拮抗薬ヨビンビン、β受容体拮抗薬プロプラノロール、MAOの内因性阻害因子イサチン、COMT阻害薬エンタカポンや血管拡張型降圧薬であるヒドララジンを用いて検討する。
|
Research Products
(3 results)