2010 Fiscal Year Annual Research Report
ニューログリカンC欠損マウスは薬物による異常行動を克服する
Project/Area Number |
21590606
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Research Institution | Institute for Developmental Research, Aichi Human Service Center |
Principal Investigator |
青野 幸子 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, 周生期学部, 主任研究員 (20231780)
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Keywords | ニューログリカンC / コンドロイチン硫酸 / プロテオグリカン / ノックアウトマウス / メタンフェタミン / メチルフェニデート / 行動異常 / 多動性症侯群 |
Research Abstract |
脳に特異的に発現するニューログリカンC(NGC)は、神経回路網形成および神経伝達に関与し、脳の成熟度、細胞の種類によってコンドロイチン硫酸鎖の付加が調節されているユニークなプロテオグリカンである。また、覚せい剤による異常行動に関連した分子としても注目を集めている。我々が作成した3種類のNGC遺伝子改変マウスの詳細な解析を行い、NGCが神経回路網形成、神経伝達、あるいは行動様式にどのように関わっているのか明らかにするのが本研究の目的である。本年度は計画した課題のうち、薬物投与とNGCとの関係に焦点を絞って報告する。 昨年度、NGCノックアウトマウス(NGC-KOマウス)は覚醒剤の一つであるメタンフェタミンに対して野生型マウスと異なる反応を示すことを報告した。現時点で、NGC-KOマウス脳では、野生型マウス脳に比べて形態学的に大きな変化は認められていない。が二次元電気泳動法を用いて脳のタンパクについて検討したところ、野生型マウスと比べて量的変動のみられるタンパクのあることが判明した。これらのタンパクがメタンフェタミンに対するNGC-KOマウスと野生型マウスの反応の違いに関与しているのか明らかにするために、メタンフェタミン投与後に変化するタンパクの有無について調べた。現在、変化のあったタンパクのうち4つに絞ってその同定を行っているところである。 向精神薬の一つであるメチルフェニデートを投与して行動実験を行ったところ、メタンフェタミンを投与した場合とほぼ同じ結果を得ることができた。NGC-KOマウスで活動量が昂進していることを考えあわせると、この結果は、NGC-KOマウスがヒトの多動性症候群のモデル動物となることを強く示すものであり、同定しているタンパクとNGCとの関係を明らかにすることによって、多動性症候群のメカニズムの一端を明らかにすることができると思われる。
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Research Products
(4 results)