2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21590608
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
吉田 繁 北海道大学, 大学院・保健科学研究院, 助教 (20431314)
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Keywords | NKG2D / H60c / 可溶型NKG2Dリガンド |
Research Abstract |
NKG2D (natural killer group 2 member D)はNK細胞の主要な活性化レセプターである.NK細胞は腫瘍細胞などの異常細胞で発現が誘導される自己分子(NKG2Dリガンド,NKG2DL)を認識し,それを排除する.しかしながら,ヒト腫瘍細胞は可溶型NKG2DL (sNKG2DL)を分泌し,NKG2Dの発現を低下させることで免疫監視から回避していると考えられている.現在,マウスではsNKG2DLの存在は確認されていない.H60cはマウス皮膚ケラチノサイトで発現するNKG2Dリガンドである.我々はマウス皮膚乳頭腫で可溶型H60c (sH60c)mRNAの存在を確認した.sH60c遺伝子を哺乳類細胞に導入することで,その培養上清に可溶型H60cタンパク質が分泌されることを確認した.皮膚扁平上皮癌で可溶型H60cが産生されるか否かを検証するため,マウス上皮内に発癌物質であるメチルコラントレンを投与し,扁平上皮癌を作製した.その癌組織でのsH60c mRNA量を正常皮膚組織と比較すると,癌組織で有意にsH60c mRNA量が増加していた.生体内のsH60cタンパク質を検出するために,異なるエピトープを認識する2種類の抗H60cモノクローナル抗体を作製し,サンドイッチELISA法を確立した.本測定法はリコンビナントH60cタンパク質を特異的に検出した.また,上記のsH60c遺伝子を導入した哺乳類細胞の培養上清からもsH60cタンパク質の検出が可能であった.本研究では実際に生体からのsH60cタンパク質の検出には至らなかったものの,ヒトでの研究を進める可溶化NKG2Dリガンド測定法やモデル動物の確立ができた.本研究はヒト癌における免疫回避機構の理解を深め,癌治療の予後予測や新たな免疫療法の開発に役立つことが期待できる.
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] Involvement of an NKG2D ligand H60c in epidermal dendritic T cell-mediated wound repair2012
Author(s)
Yoshida S, Mohamed RH, Kajikawa M, Koizumi J, Tanaka M, Fugo K, Otsuka N, Maenaka K, Yagita H, Chiba H, Kasahara M
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Journal Title
journal of Immunology
Volume: 188
DOI
Peer Reviewed
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