2009 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病多発神経障害における表皮内神経線維脱落の進行様式と分子機構の解明
Project/Area Number |
21590609
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
杉本 一博 Hirosaki University, 大学院・医学研究科, 准教授 (70271799)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
保嶋 実 弘前大学, 大学院・医学研究科, 教授 (90142934)
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Keywords | 糖尿病 / 神経障害 / 表皮内神経線維 / インスリン作用 / 痛覚 / 病期 / 3次元画像解析 / 共焦点レーザー顕微鏡 |
Research Abstract |
背景:これまで我々は、2型糖尿病Zucker diabetic fatty (ZDF)ラットの痛覚反応を解析し、このラットが生後8-10週齢で温痛覚過敏を、生後16週齢以降では温痛覚鈍麻を示すことを報告している(Diabetes Metab Res Rev24 : 642-650, 2008)。本研究では、この2型糖尿病ラットに認められる痛覚異常の初期から後期、更には進行期において、小径感覚神経障害の代表的な形態学的マーカーである表皮内神経線維密度(IENFD)がどのように経時的に変化するのか解析を行った。 IENFD解析:初期痛覚異常として温痛覚過敏を示す10週齢ZDFラット(n=6)、後期症状として温痛覚鈍麻が出現し始める24週齢ZDFラット(n=5)、そして更にこれらの痛覚異常が進行し悪化を示す39週齢ZDFラット(n=3)から、パンチ生検法(直径3ミリ)を用いて後肢足底の皮膚を採取した。週齢を合わせたやせ型正常ラット(10週齢;n=5、24週齢;n=4、39週齢;n=3)からも同様に皮膚を採取した。採取した皮膚をザンボニ固定液にて4℃で一晩固定し、凍結保護のため20%シュクロース含有PBSにて4℃で更に一晩震盪した後、60μm厚の凍結切片を作製した。作製した切片をPGP9.5およびIV型コラーゲンの二重蛍光免疫染色後、共焦点レーザー顕微鏡を用いて、断面情報を30μm厚の積算画像とした三次元化処理を行って蛍光の局在を解析した。IENFDの定量は、既報の方法(J Neurol Sci242 : 15-21, 2006)に準じ、表皮基底膜を貫通した神経線維をカウントして行った。結果:10週齢ZDFおよび正常ラットの平均IENFD(標準誤差)は、それぞれ68.2(4.9)/mmおよび54.2(4.7)/mm、24週齢ZDFおよび正常ラットでは、それぞれ55.0(7.6)/mmおよび64.4(7.3)/mm、39週齢ZDFおよび正常ラットでは、それぞれ27.9(3.2)/mmおよび42.9(6.3)/mmであった。今回行ったIENFD解析では、同週齢の正常ラットに比し10週齢ZDFラットでは増加傾向(p=0.0742)、39週齢ZDFラットでは減少傾向(p=0.0994)を認めたものの、いずれの週齢においてもZDFと正常ラットの平均IENFDとの間に統計的な有意差を認めなかった。今後解析ラット数を増やして検討を行う予定である。
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Research Products
(3 results)