2011 Fiscal Year Annual Research Report
リポ蛋白質の相反する作用の決定因子としてのリゾリン脂質シグナル分子
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21590610
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Research Institution | Takasaki University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
桑原 敦志 高崎健康福祉大学, 保健医療学部, 准教授 (90323344)
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Keywords | LDL / HDL / S1P / LPA / 動脈硬化 |
Research Abstract |
血漿リポ蛋白質は動脈硬化症など血管病に密接に関係していることが知られている。たとえば、低密度リポ蛋白質(LDL)は動脈硬化性に、一方、高密度リポ蛋白質(HDL)は抗動脈硬化性に作用する。これらのリポ蛋白質作用はコレステロール代謝と深く関連しているが、最近の研究ではコレステロール代謝に関連しないリポ蛋白質作用も血管機能と密接に関連していることが指摘されている。本研究では血漿リポ蛋白質中のリゾリン脂質分子のバランス変化がこれらの相反する作用を説明する可能性を検証する。 健常者ボランティアより血液を採取し、血漿を密度勾配遠心法で分離した各種リポ蛋白質中、あるいは血漿中のSIP、LPAのバランスを調べた。SIPはHDLに、LPAはLDLに多く分布していた。また、LDLとHDLの動脈硬化性ならびに抗動脈硬化性の活性との関係を調べた。血管内皮細胞において、HDLの抗動脈硬化作用に対して、LDLがどのように働くかを調べたが、HDLがLDLと競合して抗動脈硬化作用を発揮していることが示唆された。血漿におけるサンプル取り扱いに難しさがあるので、実験手順の煩雑さを解消し、スムーズに各実験を行っていく必要があること、検査として成立させるためには多数のサンプルを一度に処理できる方法の確立が必要なことがわかった。調製直後のLDLから保存可能なLPA、SIP画分を調製した後にこれらの一連の実験を行うことでも同様な結果がでることを検討しているが、LDLからのLPA、SlP画分が不安定であることがわかった。その上で、本研究である程度確立した多数サンプル検査方法を用いて、複数:の血管機能疾患患者から得られた血漿について同時に解析し、SIP、LPAのバランス変化が動脈硬化症のバイオマーカーとなるかどうかを調べている。
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