2011 Fiscal Year Annual Research Report
アンジオポエチン様蛋白異常による高高比重リポ蛋白血症の抗動脈硬化性
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21590616
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
稲津 明広 金沢大学, 保健学系, 教授 (80293348)
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Keywords | リポ蛋白リパーゼ / アンジオポエチン様蛋白 / 高HDL血症 / CETP欠損 / 遺伝子変異 / 遺伝子多型 |
Research Abstract |
本邦の血清HDLコレステロール値は欧米に比べ高いことが知られている。われわれは、一般人の約0.5%に高HDLコレステロール(HDL-C)血症>100mg/dLを認め、その成因の約50%はコレステリルエステル転送蛋白(CETP)のホモ接合体またはヘテロ接合体性欠損症であることを報告している。しかしながら、CETP欠損症以外の成因は肝性リパーゼ活性低下が示唆されているが、その遺伝的成因は未だ不明である。本研究は高HDL血症の成因としてリポ蛋白関連リパーゼ活性を変動させる内因性補因子の異常の有無を検討する。内因性リパーゼインヒビターであるアンジオポエチン様蛋白(ANGPTL)3、4遺伝子解析をHDLの量的異常症を対象として行った。45例のCETP欠損を除外した高HDL血症及び5例の低HDL血症の末梢白血球より抽出したDNAを用いてANGPTL3の7エキソン、ANGPTL4の7エキソンを対象とし、患者ゲノムDNAをPCR増幅し、ライトスキャナーを用いた高分解融解曲線分析で変異の有無をスクリーニングした。Hi-Res Melting(高分子融解曲線分析)は、二本鎖DNAに結合すると蛍光を発する色素LCGreenを用いてPCR産物の融解(熱変性)の過程を蛍光強度の変化として捉え、温度-蛍光のデータを解析する。変異の存在が疑われた例では、直接シークエンス法で塩基配列を確認した。 対象としたHDLの量的異常症例において、ANGPTL3およびANGPTL4遺伝子には変異を認めなかった。また、高HDL血症例(37例と41例)において、ANGPTL4遺伝子のエキソン2多型V123Mおよびエキソン6多型T266Mの遺伝子型頻度を一般人(それぞれ、172例と47例)と比較したが、有意差を認めなかった(P=0.539,P=0.551)。結論として、ANGPTL3または4によるリパーゼ活性低下による高HDL血症は本邦では少ないと考えられた。
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Research Products
(3 results)