2009 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病モデルマウスにおける低酸素環境とポドサイト障害
Project/Area Number |
21590617
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
高橋 直生 University of Fukui, 医学部附属病院, 助教 (30377460)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 治義 福井大学, 医学部, 教授 (80135574)
木村 秀樹 福井大学, 医学部, 准教授 (20283187)
糟野 健司 福井大学, 医学部附属病院, 助教 (60455243)
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Keywords | 糖尿病 / 糖尿病性腎症 / 低酸素 / ポドサイト |
Research Abstract |
糖尿病性腎症におけるポドサイト障害の進展に慢性低酸素が関与している可能性を糖尿病性腎症自然発症マウスを用いて検討した。正常圧性低酸素(11-12%O_2濃度)飼育装置で糖尿病性腎症自然発症マウスdb/dbマウス(雄)を飼育した。8-24週齢の屠殺時まで低酸素で飼育した群(Hypoxia群:n=4)と、8-20週齢まで飼育後、常酸素で4週間飼育して屠殺した群(HypoNormoxia群:n=3)について、8-24週齢まで常酸素で飼育した対象群(Normoxia群:n=3)と腎病変を比較した。腎病変は、糸球体のサイズ、微小血管瘤、メサンギウム領域拡大の程度、内皮細胞マーカーの糸球体分布、ポドサイトマーカーの分布について検討した。 病理組織学的には、Normoxia群ではメサンジウムに中等度のびまん性硬化を認めた。一方、Hypoxia群の糸球体はびまん性に腫大し、Normoxia群に比べ係蹄面積も有意に増加していた。また、Hypoxia群とHypoNormoxia群では微小血管瘤の形成が目立ったが、Normoxia群ではあまり認められなかった。HypoNormoxia群では、不規則な糸球体腫大があり結節性硬化糸球体を認めた。糸球体内皮細胞マーカーの検討では、染色陽性面積率は8週齢db/dbマウスでは多かったが、24週齢のマウスでは減少していた。さらに24週齢間の比較でもNormoxia群に比べ、HypoNormoxia群で少なく、Hypoxia群ではさらに有意な低下を認めた。WT-1による、糸球体当たりのポドサイト数には上記3群間に有意な差は認められなかったが、単位面積当たりのポドサイト数はHypoxia群で有意に減少していた。 以上より、慢性低酸素環境が内皮細胞障害惹起し微小血管瘤を引き起こすこと、さらに高血糖刺激による基質蛋白の蓄積により、結節形成を伴う進行性の糸球体硬化が生じる機序が示唆された。低酸素群で糸球体腫大しても、WT-1陽性で示されるポドサイト数に変わりがないことから、ポドサイト当たりの過剰濾過(メカニカルなストレッチ負荷)が生じている状態が推測された。今後、飼育数を増やし、再現性の確認を行う予定である。
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[Journal Article] Acute on chronic subdural hematoma as a rare complication in a microscopic polyangiitis patient receiving antithrombotic treatment2009
Author(s)
Takahashi N, Kimura H, Kitai R, Sato M, Yoneda M, Yamamoto C, Mikami D, Kuriyama M, Kubota T, Itoh H, Yoshida H
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Journal Title
Clin Nephrol 72
Pages: 211-215
Peer Reviewed
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