2009 Fiscal Year Annual Research Report
測定試薬と反応する異常免疫グロブリンの構造解析および反応メカニズムの解明
Project/Area Number |
21590620
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Research Institution | Chiba Institute of Science |
Principal Investigator |
藤田 清貴 Chiba Institute of Science, 危機管理学部, 教授 (90313866)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
亀子 文子 信州大学, 医学部, 助教 (60126670)
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Keywords | 免疫血清学 / 臨床化学 |
Research Abstract |
本研究では,測定試薬との反応に起因する異常反応を示す2例の異常免疫グロブリンについて,どのような反応機序で測定系に影響を及ぼしているのか解明することを目的とする。平成21年度は寒天成分と反応するmonoclonal IgG1について3つの実施計画をたて解析を行った。まず,(1) monoclonal IgG1と寒天成分の硫酸基との反応性が示唆されたことから,患者monoclonal IgG1を精製し,アガロースに硫酸基を持つ多糖類(ヘパリン、コンドロイチン6硫酸)を加えた場合でも,寒天と同様,monoclonal IgG1の移動度に影響を与えるか否か実験を行った。その結果,陽極側に移動度をもつ多糖類の濃度が高くなるほどmonoclonal IgG1のバンドは陽極側に大きく移動することが観察され硫酸基との反応性が確認された。次に,(2) monoclonal IgG1の硫酸基結合部位を確認するため、パパイン処理によりmonoclonal IgGlをγFabとγFcに分解し、どちらに硫酸基との結合性があるのかを確認した。すなわち,コンドロイチン6-硫酸を含有させたアガロース電気泳動によりγFabおよびγFcの移動度の変化を観察した。その結果、γFcバンドの移動度にほとんど変化を認めなかったが,γFabバンドでは,コンドロイチン6硫酸濃度の増加ともに陽極側に大きくシフトし、monoclonal IgG1の硫酸基結合部位はγFab部であることが確認された。さらに、(3)患者monoclonal IgG1を構成するγ鎖とκ鎖のどちらに硫酸基との結合性があるのかを確認するため,還元アルキル化後、γ1鎖とκ鎖に分別し,同様にコンドロイチン6-硫酸含有アガロース電気泳動によりそれぞれのバンドの移動度の変化を観察した。その結果,γ1鎖のみが陽極側にシフトすることが確認され,患者monoclonal IgG1と硫酸基との結合は,γFab部のH鎖のみであることから,抗原抗体反応による結合ではない可能性が強く示唆された。
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