2011 Fiscal Year Annual Research Report
測定試薬と反応する異常免疫グロブリンの構造解析および反応メカニズムの解明
Project/Area Number |
21590620
|
Research Institution | Chiba Institute of Science |
Principal Investigator |
藤田 清貴 千葉科学大学, 危機管理学部, 教授 (90313866)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
亀子 文子 信州大学, 医学部, 助教 (60126670)
|
Keywords | 免疫血清学 / 臨床化学 |
Research Abstract |
本研究では,測定試薬との反応に起因する異常反応を示す2例の異常免疫グロブリンについて,どのような反応機序で測定系に影響を及ぼしているのか解明することを目的とする。平成23年度は4つの実施計画をたて解析を行った。まず,(1)患者monoclonal IgMと反応するのはビリルビン測定試薬成分のSDSであることが確認されたことから,SDSと化学構造が類似するドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム,ベンゼンスルホン酸ナトリウム,およびメタンスルホン酸ナトリウムについてもその反応性実験を行った。その結果,ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムとのみ反応することが確認され,患者monoclonal IgMと反応するのは疎水性を示す直鎖アルキル基であることが示唆された。次に,(2)異常反応回避におけるカオトロープの有用性について検討を行った。過塩素酸イオン(ClO_4^-)およびヨウ化物イオン(I^-)は,カオトロピック効果が強力で,かつ蛋白質への変性作用が比較的小さいことから,この2種類のカオトロープを0.2%SDS溶液に添加し実験を行った。その結果,これまでにみられた白色沈殿物は形成されず異常反応を抑制する作用を有することが確認された。次に,(3)二次元電気泳動法により患者monoclonal IgMの分子性状解析を行った。その結果,L鎖(λ鎖)と考えられるpI8.2、27.9kDaのspotの他に、H鎖(μ鎖)と思われるpI4.5~5.2の分離ゲル最上端部に泳動されずに残った蛋白質が認められ、SDSとの反応性を有するのは、患者monoclonal IgM分子中のμ鎖である可能性が示唆された。次に,(4)この例では原因不明の溶血性貧血が認められたことから,洗浄した正常ヒト赤血球膜をPVDF膜に電気転写し,膜上で患者monoclonal IgMと反応させ,洗浄後,POD標識抗IgM抗体により赤血球膜蛋白成分との反応性を確認した。しかしながら,いずれの蛋白質バンドとも反応姓を示さなかった。
|