2009 Fiscal Year Annual Research Report
血栓症における過凝固症の早期診断ならびに発症機構の解明
Project/Area Number |
21590623
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
和田 英夫 Mie University, 大学院・医学系研究科, 准教授 (40158704)
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Keywords | 血栓症 / 過凝固症 / 播種性血管内凝固 / 深部静脈血栓症 / 肺塞栓症 / 可溶性フィブリン / D-dimer / 組織因子 |
Research Abstract |
・播種性血管内凝固(DIC)、深部静脈血栓症(DVT)/肺塞栓症(PE)などの血栓症で、D-dimer、可溶性フィブリン(SF)、thrombin-antithrombin(AT)complex(TAT)、plasmin-plasmin inhibitor complex(PPIC)、プロトロンビンフラグメントF1+2(F1+2)などの止血系分子マーカーが著しい高値であり、血栓症診断に有用と考えられた。しかし、非血栓症でもこれらのマーカーは高値であり、両群での統計学的解析により、有効なカットオフ値を決定する必要があり、さらに症例数を増やす予定である。 ・また、血栓症予防に低分子ヘパリンやフォンダパリヌクスなどが投与されている症例を集め、経日的にTAT、D-dimer、SF、PIC、F1+2などを測定したところ、抗凝固療法のモニターとしてSFやD-dimerなどが有用である可能性が示唆された。 ・DVT、PE発症時に生理的プロテアーゼ阻害因子であるAT、protein C(PC)、protein S(PS)を測定し、多数のAT、PC、PS低下例が認められた。これらのAT、PC、PS低下症のうち、遺伝子解析により二次性の低下が考えられる症例が、AT 20%、PC 5%、PS 50%に認められた。今後症例数を増やして、生理的プロテアーゼ阻害因子の二次的低下の意義、ならびにその機序について検討する予定である。血漿中のTF抗原量は、DICならびにDVT/PE例で著しく高値であった。 ・DIC患者でトロンボモジュリンやAT投与例で、TAT、D-dimer、SF、PIC、F1+2などを測定し、死亡群でSFが有意に高値であり、SFが治療効果の判定に有用である可能性が示唆された。 ・血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)の診断にはADAMTS13が有用である成績が得られた。
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