2009 Fiscal Year Annual Research Report
便潜血検査用検体を用いた大腸癌新規スクリーニング法の開発
Project/Area Number |
21590626
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
末広 寛 Yamaguchi University, 大学院・医学系研究科, 講師 (40290978)
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Keywords | 大腸癌 |
Research Abstract |
我が国において大腸癌死亡数は年々増加している。2015年における癌患者数推計では、大腸癌患者数が癌患者の中で最も多くなることが予想されており、その対策は急務である。「がん対策基本法」に基づき2011年までのがん対策の基本方向を定めた「がん対策推進基本計画」では全体目標の1つとして「10年以内に75歳未満のがん死亡率の20%減少」を掲げている。また数値目標の1つとして「3年以内に50%以上の癌検診率向上」を目指している(※平成17年度における大腸癌検診率は18.9%)。このような背景もあり、大腸癌の一次スクリーニングである便潜血検査件数は今後増加することが見込まれる。しかしながら便潜血検査には以下の問題点が指摘されている。 1) 早期癌における感度が低い(便潜血検査の感度は進行大腸癌では70%前後、早期大腸癌では35%前後に過ぎず、特に早期癌においては感度が低い)。 2) 偽陽性率が高い(一次検診の便潜血検査が陽性であったため二次検診を受診した33万人のうち32万人が大腸癌を認めなかった(偽陽性)という報告4からも分かるように、便潜血検査は偽陽性率が非常に高い)。以上の問題点から、より精度の高い大腸癌一次スクリーニング法を開発する必要性が考えられた。 今回我々は、正常大腸粘膜に比べ、大腸癌において高度メチル化を認める遺伝子を発見した。本遺伝子のメチル化のレベルは大腸粘膜では平均9.4%(n=218)であったのに対し、大腸癌では平均57.4%(n=341)であった(P<0.0001)。この知見により、便中に含まれる大腸癌細胞を回収し、マーカー遺伝子メチル化を調べることで、大腸癌スクリーニングに応用できる可能性がある。
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