2011 Fiscal Year Annual Research Report
尿中ジアセチルスペルミンの早期がん検出能とその活用に関する研究
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21590639
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Research Institution | 財団法人東京都医学総合研究所 |
Principal Investigator |
川喜田 正夫 財団法人東京都医学総合研究所, ゲノム医科学研究分野, 研究員 (00012740)
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Keywords | 腫瘍マーカー / ポリアミン / ジアセチルスペルミン / 尿検査 / 臨床検査 |
Research Abstract |
1.東京都職員健康診断受診者(約6000名)の尿検体中のジアセチルスペルミン測定を継続した。男性、女性それぞれのカットオフ値を超えた約5%の被験者について再検査を行ったところ、再検対象者約285名中3名から、白血病、前立腺癌、食道癌の申告があった。2010年度の結果と合わせ、がん検診への適用の可能性が示唆された。 2.DiAcSpmの在宅検査を普及させ、自覚症状をもたない患者の早期掘り起こしを可能にするために、イムノクロマト法による簡易測定系の開発を進めた。測定デバイスの保存安定性を向上させる条件について検討するために種々の条件で作成したデバイスに対して熱加速試験を行い、十分な安定性を付与する条件を見いだすことができた。今後さらに詳細な条件検討を進めれば、がんの早期発見に資することが可能になると考えている。 3.金コロイド凝集法によるDiAcSpm測定試薬を用いて、癌組織特異的なDiAcSpmの上昇についてさらに詳細な解析を進めた。大腸内視鏡手術で摘出された組織、について検討した結果、正常組織中にはポリアミンのアセチル体は一般にほとんど検出されないのに対して、組織学的に癌と診断される以前の大腸アデノーマの症例においてもDiAcSpmが周辺正常組織より上昇する例が多数認められ、また、そのような上昇例の出現頻度は組織の異型度の増加と関連する傾向が認められた。細胞の悪性化と関連してDiAcSpmが上昇するメカニズムの解明は今後の課題であり、DiAcSpmががんマーカーとして優れた特性を示す理由の解明につながる可能性がある。その解明に向けて、アセチルポリアミン代謝関連酵素の動態を明らかにするために、質量分析法を利用した、3種類のポリアミン代謝関連酵素の活性測定法を開発した。
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Research Products
(9 results)