2010 Fiscal Year Annual Research Report
組織改革(吸収合併)が従業員の心身に与える影響に関する研究
Project/Area Number |
21590649
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
井上 和男 帝京大学, 医学部, 教授 (70275709)
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Keywords | 組織改編 / organizational downsizing / 吸収合併 / 職業関連ストレス / 健康リスク / 職業性ストレス簡易調査 |
Research Abstract |
平成22年度においては、吸収合併を受けた事業所(企業グループの子会社)において、合併が発表された直後の平成20年(2008年)7月に行ったストレス調査の結果を、職業性ストレス簡易調査票の下位尺度を用いて検討した。下位尺度はストレスの原因と考えられる因子(ストレッサー)について17、ストレスによっておこる心身の反応について29、ストレス反応に影響を与える他の因子について11の計57質問からなっており、各々について9、6、4項目の分析結果が導かれる。これらの回答結果から各々の項目について平均値をとり、分析を行った。 この結果、男性115名、女性35名から調査結果が得られた。分析結果は以下である。男性については、 (1)ストレッサーで職場環境によるストレスがやや高い。 (2)しかしその一方で、仕事のコントロール度がやや高い。 女性については、 (1)ストレッサーで自覚的な身体的負担度がやや高い。一方で、仕事のコントロール度、技能の活用度がやや高い。 (2)他の因子で、同僚からのサポートがやや低い。 男性、女性ともストレスによっておこる心身の反応については「普通」であり、過度のストレス症状は見られなかった。主観的ストレスとストレス関連症状が、合併発表後増加するとした先行研究が報告されているが、本調査からは横断研究ではあるものの、そうした結果は得られなかった。この理由として、同一グループ内での組織改編(吸収合併)では、従業員のメンタルヘルスへの影響は発表自体では見られなかったこと、つまりアナウンス効果は乏しかったことが考えられる。したがって、このような組織改編では、実質的合併後について経過を追って検討すべきである。また、合併発表時のストレス調査は、ベースラインデータとして以後の推移をみるのにも有用であろう。
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Research Products
(1 results)