2010 Fiscal Year Annual Research Report
パーキンソン病発症への重金属の関与を探る疫学及び実験研究
Project/Area Number |
21590657
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
福島 哲仁 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (90208942)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神田 秀幸 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (80294370)
早川 岳人 福島県立医科大学, 医学部, 准教授 (50362918)
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Keywords | パーキンソン病 / マンガン / 重金属 / ビタミン / 環境曝露 / 患者対照研究 / 中国 |
Research Abstract |
昨年度の結果から、パーキンソン病患者において血中マンガンと鉄が高値であった背景として、都市部の飲料水の殆どは問題がなく農村部における井戸水等の水質の問題、大気汚染の影響等が考えられた。血中と尿中の重金属を比較することによる体内動態からの考察を深めて行く必要性が示唆された。また、これまでの調査結果に欠損値が多数あり、今後のデータの解析に問題があった。今年度の経費を使い、欠損値を中心に追加調査を実施した。その上で、昨年度の結果を受け、パーキンソン病患者とコントロールにおいて、血中と尿中の重金属を比較し、体内動態からの考察を深めた。さらに、血清ビタミンE及びB_<12>の比較も行い、パーキンソン病との関連を考察した。対象者は、パーキンソン病患者と、同じ中国の病院の外来を受診した性と年齢を一致させたコントロールである。早朝に血液および尿を採取し、金属及びビタミンを測定した。その結果、血清鉄、全血マンガン、尿中鉄および銅のレベルは、コントロールよりパーキンソン病患者において有意に高かった。パーキンソン病患者の血清と尿の鉄は有意な正の相関を示した。血清ビタミンE/尿中銅比率は、パーキンソン病患者においてコントロールより有意に低かった。血清ビタミンEは、パーキンソン病患者において血清銅と負の相関があり、尿中銅と正の相関があった。血清ビタミンB_<12>は、PD患者では、血清亜鉛と正の相関、コントロールでは、尿中亜鉛と負の相関が認められた。鉄と銅の過度の摂取、マンガンの蓄積、摂取におけるビタミンEとCuのアンバランス、さらに亜鉛欠乏によるビタミンB_<12>減少が、パーキンソン病の要因として関連し合っているものと思われた。
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