2011 Fiscal Year Annual Research Report
透析患者の死亡ならびに脳卒中発症に及ぼす心房細動のリスクの定量的評価
Project/Area Number |
21590660
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
大澤 正樹 岩手医科大学, 医学部, 講師 (60295970)
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Keywords | 循環器高血圧 / 社会医学 / 脳神経疾患 / 内科 |
Research Abstract |
本研究課題では、申請者らが従来実施してきた透析患者悉皆的コホート研究に参加した透析施設で保有している心電図情報を追加収集することにより、透析患者の心房細動有病率を明らかにするとともに、心房細動が透析患者の死亡や脳卒中発症リスクをどの程度上げるのかを明らかにすることを目的としている。上記25の透析施設長に心電図情報収集について周知し、各透析施設の透析スタッフと直接交渉し、心電図の複写作業についての具体的な日程を決めた後に研究者と研究支援者が透析施設を訪問して、心電図の複写収集またはスキャナによるノートパソコンへの取り込みを行った。平成21年4月から平成23年3月までに収集した心電図は1,511名分(92.6%)であった。平成21-22年にかけて433人分の心電図判読を実施し、平成23年度は残り1078名分の心電図判読を研究代表者が実施するとともに、ダブルチェックの目的で、連携研究者2名(岡村智教慶応大学教授、丹野高三岩手医科大学講師)に依頼して、1,511名の心電図判読をそれぞれ半数ずつ依頼した。全ての心電図は最低2名の医師による判読が行なわれた。心房細動判読の不一致は13例(全体の0.9%、心房粗細動症例の22.8%)で確認され、再度の心電図判読によって最終的に心房粗細動と判断されたのは57名(3.8%)であった。その他ペースメーカ調律が14名(0.9%)存在した。心房粗細動判定不一致例の内訳を見ると、洞調律との識別ミス9例(心房粗動1例、心房頻拍1例を含む)、頻発する上室性期外収縮との識別ミス(3例)、発作性上室性頻拍症と心房粗動との識別ミス1例が確認された。今回収集した透析患者の心房細動のデータを用いて、一般住民データとの比較を通して心房細動有病率の標準化有病比を算出するとともに、心房細動有所見者の死亡リスク、脳卒中罹患リスクを定量的に評価し、研究成果報告書(様式C-19)に報告する予定である。
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