2010 Fiscal Year Annual Research Report
レアメタル吸入曝露による健康障害の評価と予防への応用
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21590665
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Research Institution | Seisen University. |
Principal Investigator |
篠原 厚子 清泉女子大学, 付置研究所, 教授 (90157850)
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Keywords | セリウムCe / ユーロピウムEu / 吸入暴露 / 体内分布 / 経時変化 |
Research Abstract |
平成22年度は、セリウム(Ce)の酸化物粒子CeO_2の吸入曝露後1年間経過したマウスと、ユーロピウム(Eu)の酸化物粒子Eu_2O_3を吸入させたマウスの経時的解剖を行い、投与元素の分布を検討した。Ce、Eu共に粒径5および1μmの粒子を、15mg/m^3、7hrs/日、5日/週で、1または4週間に曝露装置内で曝露し、翌日、曝露中止後4週、12週および1年後に解剖した。CeO_2およびEu_2O_3粒子吸入による体重や肉眼的所見への影響は殆ど認められなかった。投与元素は主に肺に沈着し、濃度は曝露期間と粒子径に依存した。Ceでは1μm粒子は5μm粒子に比して数~10倍程度多く分布し、曝露終了後の経時的減少が緩やかであったが、1年後には翌日の1/100以下にまで減少した。Euは、1μm粒子は5μm粒子の約4倍肺に沈着し、肺の経時的濃度減少は、12週後までの結果をみる限りCeよりゆるやかである。1年後については今後分析予定である。肺の病理所見でマクロファージの増加が認められたが、その数は投与元素の肺中濃度と対応していない。明らかな炎症は観察されなかった。Ceはマクロファージ内に曝露粒子が認められ、1μm径粒子は多数集合して取り込まれている様子が観察された。一方、Eu粒子は予想されるサイズの粒子は観察されず、アモルファス状態もしくは一部溶解していることが推測された。Ceは肺以外の臓器への移行は殆ど認められなかったが、Euは低濃度ながら肝や腎にも移行することが観察され、すでに検討したサマリウム(Sm)と類似の挙動が示唆された。一連の希土類元素は物理化学的性質が類似しているが、体内に取り込まれた後の挙動は元素により異なることが示された。今後、凝集状態の違い、肺や臓器中における化学形態、酸化物の溶解度の違い、などの因子を検討し、吸入暴露した希土類元素の挙動を推定するための要因を明らかにしたい。
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Research Products
(6 results)