2009 Fiscal Year Annual Research Report
カーボンナノチューブ暴露により胸膜中皮及び肺胞上皮細胞が被る遺伝子損傷の評価
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21590670
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Research Institution | Meiji Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
小笠原 裕樹 Meiji Pharmaceutical University, 薬学部, 講師 (20231219)
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Keywords | カーボンナノチューブ / 酸化ストレス / 中皮細胞 / 肺胞上皮細胞 / DNA損傷 / カルボニル化 / アスベスト |
Research Abstract |
本年度は、まずこれまで行われたアスベストを用いた研究の追試を行い、その過程でクリソタイルや発がん性の強いクロシドライトの肺胞上皮由来A549細胞への曝露により、細胞内グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ(G6PDH)が、酸化的修飾(カルボニル化)を受け、失活することを明らかにした。そこで、カーボンナノチューブが低分子SH化合物及び蛋白質に与える酸化的傷害について検討を行った。今回の検討では、単層カーボンナノチューブ(SWCNT)の分散法を検討し、肺胞上皮由来の癌細胞であるA549とヒト胸膜中皮由来MeT-5AにSWCNTを曝露し、細胞内のSH濃度変化とSHタンパク質の失活及びカルボニル化などについて調べた。細胞に対しSWCNTを37℃、5%CO_2、24-72時間処理した後、細胞抽出液中の低分子SH量をDTNB法、GSHをHPLC法、G6PDH活性を常法に従って測定した。また、タンパク質カルボニルをウエスタンブロット法で検出した。分散の状態は、水浴型ソニケーター使用時と、超音波発振子使用時で違いが認められた。SCNT曝露において、A549細胞では、細胞内低分子SH量に減少傾向が見られたが、G6PDHの失活は認められなかった。これに対しMeT-5Aにおいては、G6PDH活性の有意な低下が認められた。即ち、中皮細胞において、SWCNTが、レドックス系の中枢を担う酵素に影響を与えることが示唆された。今後このG6PDHの変化がタンパク質レベルの変化であるのか、あるいは、アスベストとは異なり、遺伝子レベルでの変化によるものか否かを、解析すると共に、DNAの酸化的損傷について、コメットアッセイなどを用い評価していく予定である。
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Research Products
(4 results)