2010 Fiscal Year Annual Research Report
カーボンナノチューブ暴露により胸膜中皮及び肺胞上皮細胞が被る遺伝子損傷の評価
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21590670
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Research Institution | Meiji Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
小笠原 裕樹 明治薬科大学, 薬学部, 准教授 (20231219)
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Keywords | カーボンナノチューブ / コメットアッセイ / 遺伝毒性 / 細胞増殖阻害 / DNA損傷 / 胸膜中皮細胞 |
Research Abstract |
これまでの研究において、アスベスト暴露によるヒト肺胞II型上皮由来細胞(A549)に対する酸化的傷害が検討した。A549にアスベストを暴露する事で細胞内GSH濃度の低下が認められた。さらに細胞膜に酸化傷害が起こり、膜脂質が過酸化され、その脂質過酸化二次生成物(TBARS)との反応によりG6PDHの活性部位がカルボニル化され、G6PDHの活性が低下することを見出した。 さらに本年度は、以上の事を踏まえ、アスベスト感受性細胞であるヒト胸膜中皮細胞MeT-5Aを用い、CNT曝露による細胞毒性について調べ、次いでコメットアッセイにより遺伝毒性の評価を行った。また、ゲノムDNA由来の8-OHdGの変化を定量すると共に、塩基除去修復酵素の発現変動についても解析することで、CNT曝露による酸化的DNA損傷の可能性について検討した。その結果、CNT暴露によりヒト胸膜中皮由来細胞において増殖阻害、及びDNA損傷が生じる事が明らかとなった。そのメカニズムとして、従来アスベストを用いた実験で考えられている様な酸化的な損傷である事を示唆するデータは得られなかった。したがって、今後の課題として、変異スペクトル解析などにより変異の確認やそのパターンを詳細化し、酸化的損傷修復以外のDNA修復系の解析など、更なる検討を進める事が望まれる。
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Research Products
(4 results)