2009 Fiscal Year Annual Research Report
化学物質の新規甲状腺ホルモン様作用評価系開発のための基礎的研究
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21590671
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Research Institution | Sagami Women's University |
Principal Investigator |
岡部 とし子 Sagami Women's University, 栄養科学部, 教授 (20152564)
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Keywords | 甲状腺ホルモン / バイオアッセイ / 培養細胞 / GFP |
Research Abstract |
本研究は、(1)甲状腺ホルモン受容体とGFPの融合タンパク質を用いて、分解に伴うGFPの蛍光強度の変化を指標とした新規バイオアッセイ系を構築し、このバイオアッセイ系を用いて、農薬や食品添加物、食品含有物質等による甲状腺ホルモン系への影響を明らかにすること、(2)甲状腺ホルモン受容体について、リガンド結合後の受容体の分解過程及び甲状腺ホルモン受容体による転写活性化との関連を明らかにすることを目的としている。 平成21年度は上記目的のために、まず、ヒト甲状腺ホルモン受容体α1(TRα1)の全長cDNAとGFP(green fluorescent protein)cDNAを接続した真核細胞発現プラスミドを作成した。さらにG418耐性遺伝子を挿入し、HeLa細胞、HEK293細胞およびNIH3T3細胞へ導入した。constitutiveにTRα1とGFP融合タンパク質を発現する細胞株、またコントロールとしてGFPのみをconstitutiveに発現する細胞株をG418耐性により選択後、蛍光測定装置を用いて蛍光強度の最も高い細胞株を以後の実験に使用した。またHEK293細胞に導入した場合、蛍光強度が最も高かったことから、バイオアッセイにはHEK293細胞、及びHEK293由来の細胞株を使用することにした。 これまで申請者はTRα1を高発現したHeLa細胞を用い、甲状腺ホルモン受容体を介した転写活性化を指標として種々の化学物質の甲状腺ホルモン様作用について検討してきた。そこで、次にHEK293細胞における至適T3濃度を検討した。HEK293細胞においてtransientにTRα1とGFPの融合タンパク質を発現させ、種々のT3濃度の影響を検討した結果、ルシフェラーゼ活性を指標とした転写活性化は以前の結果とほぼ同様であったが、融合タンパク質の分解は以前の研究結果より低濃度で濃度依存的に引き起こされることが明らかになった。現在、受容体タンパク質の分解を指標に、これまで受容体の転写活性化を指標としたバイオアッセイ系では甲状腺ホルモン様作用が明確でなかった化合物について検討しているところである。
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