2010 Fiscal Year Annual Research Report
化学物質の新規甲状腺ホルモン様作用評価系開発のための基礎的研究
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21590671
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Research Institution | Sagami Women's University |
Principal Investigator |
岡部 とし子 相模女子大学, 栄養科学部, 教授 (20152564)
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Keywords | 甲状腺ホルモン / バイオアッセイ / 培養細胞 / GFP |
Research Abstract |
本研究は(1)甲状腺ホルモン等リガンドが甲状腺ホルモン受容体に結合することにより受容体タンパク質が分解する過程を利用した新規バイオアッセイ系の構築、(2)リガンド結合による甲状腺ホルモン受容体の転写活性化と受容体タンパク質分解との関連、(3)(1)のバイオアッセイ系を利用し農薬や食品添加物、食品含有物質等の有する(抗)甲状腺ホルモン(様)作用を明らかにすることを目的としている。平成22年度はヒト甲状腺ホルモン受容体α1(TRα1)とGFP(green fluorescent protein)の融合タンパク質(TR-GFP)をtransientにHEK293細胞で発現させ蛍光測定装置を用いて蛍光強度を測定した結果、甲状腺ホルモン濃度依存的にGFPの蛍光強度が減少することを明らかにした。特に蛍光強度の減少は血清遊離甲状腺ホルモン濃度と同程度の低濃度においても観察され、TR-GFPの蛍光強度の減少を指標としたバイオアッセイ系は申請者がこれまで行ったルシフェラーゼ活性を指標とした甲状腺ホルモンによる転写活性化よりも感度が優れている可能性が示唆された。さらに蛍光顕微鏡を用いTR-GFPの細胞内での挙動を検討した結果、甲状腺ホルモン添加により蛍光が消失することを確認した。また、これまで甲状腺ホルモン受容体の転写活性化を指標としたバイオアッセイ系では甲状腺ホルモン様作用が明確でなかったフタル酸ジエチルヘキシルについてTR-GFPの分解を検討した結果、フタル酸ジエチルヘキシル添加により蛍光強度が有意に減少すること、血中濃度と同程度の甲状腺ホルモンを同時に作用させることによりTR-GFPの蛍光強度はさらに減少することから、フタル酸ジエチルヘキシルによる甲状腺ホルモン様作用が示唆された。そこで現在、他の内分泌攪乱化学物質や農薬、食品添加物などについてTR-GFPの分解を指標として(抗)甲状腺ホルモン様作用を検討するとともに、蛍光顕微鏡を用いてリガンド添加に伴うTR-GFPの細胞内挙動を詳しく検討しているところである。
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Research Products
(1 results)