2011 Fiscal Year Annual Research Report
環境化学物質における核内受容体ROR活性の探索とTh17細胞分化に及ぼす影響
Project/Area Number |
21590675
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Research Institution | Hokkaido Institute of Public Health |
Principal Investigator |
小島 弘幸 北海道立衛生研究所, 理化学部, 主査(有害化学物質) (10414286)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武内 伸治 北海道立衛生研究所, 理化学部, 研究職員 (20414287)
室本 竜太 北海道大学, 大学院・薬学研究院, 助教 (30455597)
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Keywords | 環境保健 / 環境化学物質 / 核内受容体 / ROR / Th17 / IL-17 |
Research Abstract |
近年、環境要因が疑われる疾患(特にアレルギーなどの免疫異常症)が増えており、普遍的に存在する環境化学物質もその要因の一つと考えられている。さらに最近、免疫研究の分野でCD4+ヘルパーT細胞の中でもTh1やTh2に属さないTh17と呼ばれるインターロイキン(IL)-17を特異的に産生する細胞の一群が注目され、この細胞の分化増殖がTh1/Th2バランスの変化により生じる免疫異常症の増悪に影響を及ぼすことが報告された。また、このThl7の細胞分化を制御するマスター遺伝子として、レチノイド関連オーファン核内受容体RORが報告されたことから、環境化学物質によるRORを介する作用を明らかにすることは、環境化学物質と免疫異常を伴う各種疾患との因果関係を解明する一助になると考えられる。 本年度は昨年度にRORインバースアゴニストとして見出したアゾール系殺菌剤やRORアゴニストとして見出した植物由来化学物質について、マウスEL4細胞のIL-17発現に及ぼす影響を定量的RT-PCR法にて測定した。その結果、これらのROR活性とIL-17mRNAの発現変化量は良く一致することが認められた。さらに、ROR-knockdown EL-4細胞を作製し、これらのIL-17発現への作用がROR依存的であることを確認した(Kojima et al.2012)。以上の結果より、ある種の環境化学物質はRORを介してIL-17発現を制御し、Th17細胞分化に影響を与えることが推察された。また、本研究で確立したRORレポーターアッセイ法はTh17細胞分化に影響を及ぼす化学物質を探索するスクリーニング系として有用であることが示唆された。
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Research Products
(11 results)