全自殺事例報告に基づく自殺予防対策の提示と比較対照研究の実施

2010 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 21590695
• Research Institution: Okayama University
• Principal Investigator: 浜田 淳 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (70334886)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 津田 敏秀 岡山大学, 大学院・環境学研究科, 教授 (20231433) ; 宮石 智 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (90239343)
• Keywords: 自殺の実態分析 / 全自殺例に関するデータベース / 練炭による一酸化炭素中毒自殺 / 人口動態統計 / 記述疫学 / 分析疫学

Research Abstract

この研究は、「自殺の実態分析を社会に生かす」ことを目的として、
岡山大学法医学教室が完全匿名化状態で保管する岡山県下の全自殺例に関するデータを公衆衛生学的視点から活用して、人のライフステージやリスクに対応した有効性のある自殺対策を提示することをめざしている。同時に、厚生労働省の「自殺死亡統計の概況」などの指標と当データベースとの比較等を通じて、自殺の背景因子や個人特性の地域差などを明らかにし、地域の実情に応じた自殺予防対策の提言をめざしている。
平成22年度においては、厚生労働省に人口動態統計の目的外使用を申請し、承認を得たデータに基づいて、人口動態統計に関するデータセットの構築、徹底した記述疫学・分析疫学的な分析を継続的に行っている。加えて、本邦における経済指標に関する文献検索を行った。本研究の目的として、「不況などの社会経済因子に対する自殺のハイリスク集団を同定し、これらのハイリスク集団に対して、致死的な自殺方法へのアクセスの制限や自殺を試みる直前での予防的な介入を、適切な時期に実施することにより、自殺者を減少させることができないか」という観点を中心に研究を深めており、今後は、本研究結果を用いて、具体策の提言に結び付けていきたいと考えている。